1. 「会社のアカウントより、私の個人アカウントのほうが見られているんです」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「会社のアカウントもあるにはあるんですが、ほとんど動いていなくて。私が個人でやっているほうが、仕事の話をすると反応があるんです。これ、会社のホームページとつなげたほうがいいんでしょうか。混ぜないほうがいいんでしょうか」
これは、とても多い状況です。会社の名前で淡々と流れる投稿より、顔の見える社長が、自分の言葉で書いた投稿のほうが読まれることは珍しくありません。人で選ばれる商売なら、なおさらです。
一方で、社長の個人アカウントには、仕事の話だけでなく、家族のこと、休日のこと、時事の話も混ざります。つなげば会社の顔の一部になり、つながなければ、せっかく興味を持った人が会社にたどり着けません。
この記事では、つなぐ道は作り、混ぜないところは分けておくための考え方を、順番に書きます。
この記事で書くこと
- 社長の発信から会社を知った人が、ホームページで確かめること
- 個人アカウントから、ホームページへの道の作り方
- ホームページの側で、個人の発信をどこまで紹介するか
- 個人の意見と、会社の方針を混ぜない書き方
- 私生活の投稿との距離の取り方
- 社長が発信をやめたとき、会社のサイトに何を残すか
近い記事との分け方
似た話題の記事がいくつかあるので、先に役割を分けておきます。
- ホームページとSNSのどちらに時間を使うか ― ホームページとSNS、どちらに時間を使うべきか
- 会社のSNSを社員に任せるときの決めごと ― 社員に会社のSNSやお知らせを任せるときの、ルールの決め方
- プロフィールのリンクを、サイトのどこに飛ばすか ― SNSのプロフィールのリンクは、ホームページのどこに飛ばすか
この記事は、そのどれでもなく、社長個人のアカウントと、会社のホームページの関係に絞った話です。
2. 社長の発信から、会社を知る人がいる
まず、社長の発信を見た人が、そのあと何をするかを考えます。
人で選ばれる商売は多い
工務店、士業、整体や教室、飲食店、町の製造業。規模の小さい会社ほど、「この人に頼みたい」で選ばれる場面が多くあります。社長の考え方や仕事ぶりが見えると、頼む前の不安が減るからです。
社長が個人で発信している内容は、その不安を減らす材料になっています。会社のアカウントより、個人の言葉のほうが届くのはそのためです。
興味を持った人は、ホームページで確かめに来る
社長の投稿を読んで「この人の会社に頼んでみたい」と思った人は、次に何をするでしょうか。たいていは、会社がちゃんとあるかを確かめに来ます。
- 本当に会社があるか ― 社名、所在地、電話番号
- 何をしている会社か ― どんな仕事を、どの地域で、いくらくらいで
- どうやって頼むか ― 問い合わせの方法と、その先の流れ
この3つは、個人のアカウントには書ききれません。書いてあっても、投稿の中に流れていって見つかりません。確かめに来た人の受け皿になるのが、ホームページの役目です。
個人アカウントは、会社のものではない
もう1つ、最初に押さえておきたいことがあります。社長の個人アカウントは、社長個人のものです。会社の持ち物ではありません。
今は社長が毎日書いていても、忙しくなれば止まりますし、代表が交代すれば会社とは関係のないアカウントになります。個人の発信に、会社の大事な情報を預けきらない。この考え方が、この記事の残りの話の土台になります。
3. 個人アカウントから、ホームページへの道を作る
最初にやるのは、個人アカウントから会社のホームページへの道を作ることです。
プロフィールに、会社名と役職を書く
まず、プロフィール欄に会社名と、代表であることを書いてください。「○○株式会社 代表」の一行です。これがあると、読む人は「この人は、この会社の人なのだ」と分かります。
これは、つなぐためだけではありません。社長が自社の仕事や商品について書くとき、自分の会社の話をしているのだと、読む人に分かる状態にしておくためでもあります。立場を伏せて自社を褒めているように見えると、信用を損ねます。表示についての決まりは業種によって違うので、気になる場合は所管の窓口や専門家に確認してください。
リンクは、トップより代表挨拶のページへ
プロフィールに置くリンクの先は、トップページより代表挨拶のページをおすすめします。社長の投稿を見て来た人は、まず「この人の会社」を見に来ています。社長の写真と言葉があるページに着地すれば、投稿の続きとして読めます。
代表挨拶のページの下に、サービスの紹介と問い合わせへの入口を置いておけば、そこから先に進めます。リンクを1つしか置けないときの決め方や、時期で飛ばす先を変える考え方は SNSのプロフィールのリンクは、ホームページのどこに飛ばすか に詳しく書きました。
仕事の相談は、会社の窓口へ案内する
個人アカウントで発信していると、メッセージで仕事の相談が届くことがあります。ここで、そのまま個人のメッセージでやりとりを進めないほうが安全です。
- 記録が会社に残らない ― 社長のスマートフォンの中にしか、やりとりが無い
- 社長しか返せない ― 出張や繁忙期に、返事が止まる
- 条件の話が曖昧になる ― 金額や納期の約束が、会話の流れで決まってしまう
返事の文を1つ決めておくと楽です。「ご相談ありがとうございます。お見積もりは会社の窓口でお受けしています。こちらのページからお送りください」。相談の入口は会社に置き、個人のアカウントは入口の手前までにしておきます。
仕事の考え方や、現場で判断したことを、社長自身の言葉で書いています。読む人は「この人に頼んでみたい」と感じます。
「○○株式会社 代表」の一行と、会社のサイトへのリンクを置きます。誰の発信かが、ここで分かります。
社長の写真と言葉で、投稿の続きとして読めるページです。末尾に、個人の発信を一言で紹介します。
料金、対応できる範囲、頼み方。会社として約束することは、ここに書きます。相談はここで受けます。
個人のアカウントは入口、ホームページは確かめる場所と、頼む場所です。役割を分けておくと、社長が忙しい時期でも問い合わせが止まりません。
4. ホームページの側で、どこまで紹介するか
次は逆向きの道です。ホームページから、社長の個人アカウントをどこまで紹介するか。ここは、控えめなくらいがちょうどいいと考えています。
紹介するのは、代表挨拶のページから一言で
おすすめは、代表挨拶のページの末尾に、一言とリンクを添える形です。
「仕事のことや、現場で考えていることを、個人のアカウントでも書いています(個人の発信です)」
このくらいの温度で十分です。代表の考え方をもっと知りたい人だけが、そこから個人のアカウントに進みます。代表挨拶に書くことそのものは 代表挨拶のページに、何を書くか にまとめました。
トップやフッターには、並べない
逆に、避けたほうがいい置き方があります。トップページや、全ページの下の欄に、社長の個人アカウントを会社のアカウントと並べて置くことです。
並んでいると、読む人はどちらも会社の公式な発信だと受け取ります。社長が個人として書いた意見や私生活の投稿まで、会社の発表のように読まれてしまいます。会社のアカウントと個人のアカウントは、置き場所で区別しておくほうが、あとで困りません。
投稿の埋め込みは、しない
個人アカウントの投稿を、会社のサイトに自動で流れるように埋め込むのは、おすすめしません。何が表示されるかを、会社の側で選べなくなるからです。家族旅行の投稿が、会社のトップに並ぶこともあり得ます。
埋め込みが向く場面と向かない場面は Instagramの投稿を、ホームページに埋め込むか に書きました。社長の個人アカウントについては、埋め込まずにリンクだけにしておくのが無難です。
紹介する前に、社長本人と決めておくこと
ホームページで紹介するかどうかは、社長本人の気持ちも大事です。リンクを張るということは、会社のサイトを見た取引先や求職者が、個人のアカウントまで見に来るということです。
社長が「そこまで見られるなら書き方を変えたい」と感じるなら、無理に紹介しなくて構いません。
5. 個人の意見と、会社の方針を混ぜない
社長の発言は、本人がどう思っていても、会社の発言として受け取られやすいものです。ここを分けておかないと、思わぬところで食い違いが起きます。
会社の約束ごとは、ホームページに書く
料金、納期、保証、対応できる範囲。こうした会社として約束することは、個人のアカウントではなく、ホームページに書いてください。
個人の投稿で「うちは見積もり無料です」「今月は○割引きでやります」と書くと、それを見た人はそれを会社の条件として受け取ります。ホームページに書いてある条件と違えば、どちらが正しいのかで揉めます。条件の正本は、ホームページの1か所に置くと決めておくと、個人の投稿ではそこへのリンクを示すだけで済みます。
割引や期間限定の話は、個人で先に出さない
特に気をつけたいのが、割引や期間限定の企画です。社長が思いつきで個人のアカウントに書き、会社のサイトや社員には伝わっていない。電話を受けた社員が「そんな話は聞いていません」と答える。お客様から見ると、会社の中で話が通っていない状態です。
企画は、先に会社のサイトに載せ、社内に伝えてから、個人のアカウントで紹介する。この順番にしておくと、食い違いは起きません。
「個人の見解です」の一文は、万能ではない
プロフィールに「発信は個人の見解です」と書いておく方は多いと思います。書いておくこと自体は良いことです。ただ、この一文があれば何を書いても会社と無関係になる、というものではありません。
会社名と代表であることを書いている以上、読む人は会社の代表の言葉として読みます。時事の話、他社への批判、業界への強い意見。書くかどうかは社長の自由ですが、その言葉は会社の評判にも返ってくると考えて書いていただくのが安全です。
社員とお客様のことを書くとき
社長の個人アカウントで、社員やお客様のことを書く場面もあると思います。ここは、会社のアカウントと同じ注意が要ります。
- 社員の写真や名前 ― 個人のアカウントでも、本人の了解を取ってから
- お客様の現場や会話 ― 場所や人が特定できる書き方をしない
- まだ決まっていない話 ― 取引の話や新しい事業は、決まってから
社員が会社のSNSを書くときの決めごとと考え方は同じです。社員に会社のSNSやお知らせを任せるときの、ルールの決め方 の「書かないこと」の3つは、社長本人にもそのまま当てはまります。
6. 私生活の投稿との距離
社長の個人アカウントには、私生活の投稿も混ざります。会社のサイトからつなぐなら、ここの距離を決めておく必要があります。
リンクを張った先は、全部が会社の顔の一部になる
会社のサイトからリンクを張ると、張った先にあるものは、全部が会社の顔の一部として見られます。仕事の投稿の間に、家族の写真、休日の行き先、飲み会の様子が並んでいる。それ自体は悪いことではありませんが、取引先の担当者や求職者が見に来ることは想定しておいてください。
注意したいのは、住んでいる場所や家族の生活が分かる情報です。自宅の近くの写真、子どもの学校が分かる行事、今どこにいるかがすぐ分かる投稿。会社のサイトからつながっていることで、見に来る人の数と種類が増えます。何を出すかは、社長とご家族で決めてください。
距離の取り方は、3つの形のどれか
距離の取り方は、だいたい次の3つの形に分かれます。
仕事の話は仕事用に、私生活は別のアカウントに。会社のサイトからは仕事用だけにリンクします。管理するアカウントが増えるのが難点です。
アカウントは1つのまま、住まいや家族が分かる投稿は控えます。人柄が伝わる程度の私生活なら、むしろ親しみにつながることもあります。
仕事の話がたまにしか出ないなら、会社のサイトから紹介する意味は小さく、見られて困るものが増えるだけです。個人のアカウントから会社へのリンクだけを置きます。
どれが正しいという話ではありません。社長がどこまで見られてよいかで決めてください。迷ったら、会社のサイトからは紹介せず、個人から会社への道だけを作っておくところから始めると、あとで変えやすいです。
途中で形を変えてもいい
最初はBで始めて、見られる人が増えたらAに分ける。子どもが大きくなったのでCにする。形は途中で変えて構いません。変えたときに直すのは、会社のサイトのリンクと、代表挨拶の一言だけです。この2か所に絞っておくと、切り替えが楽になります。
7. 社長が発信をやめたとき、会社のサイトに残るもの
最後に、少し先の話をします。社長の発信は、いつか止まります。
発信は、いつか止まる
止まる理由はさまざまです。本業が忙しくなる。書くことに疲れる。体調を崩す。代表を交代する。
ただ、止まったときに困らないように、今のうちにやっておけることがあります。個人の発信の中で、会社にとって大事なものを、ホームページに移しておくことです。
会社の資産として、サイトに移しておくもの
個人の投稿の中には、会社の資産と呼べるものが混ざっています。
- よく聞かれる質問への答え ― 「よくある質問」のページにまとめ直す
- 仕事の考え方や、こだわり ― 代表挨拶やサービスのページの言葉に取り込む
- 現場の事例 ― お客様の了解を取ったうえで、実績のページに1件ずつ書き直す
- 反応の大きかった説明 ― 図や文章にして、サービスのページに置く
投稿は流れていきますが、ホームページのページは残ります。投稿のうち、何度も聞かれることや、多くの人に届いたことを、月に1つずつでもサイトに移しておけば、発信が止まっても会社の情報は減りません。SNSだけに頼ることのリスクは ホームページとSNS、どちらに時間を使うべきか でも触れました。
止まったアカウントへのリンクは、外す
発信をやめたら、会社のサイトから、そのアカウントへのリンクを外してください。最後の投稿が1年前のまま止まっているアカウントにつながっていると、読む人には「この会社も止まっているのでは」と見えます。
外す場所は、代表挨拶の一言と、ほかに紹介している箇所です。第6章で書いたとおり、紹介する場所を2か所に絞っておけば、外す作業もすぐに終わります。
代表が交代したとき
代表が交代するときは、もう少し整理が要ります。前の代表の個人アカウントは、その方のものです。会社のサイトからのリンクは外し、新しい代表が発信するなら、改めて同じ手順でつなぎ直します。
前の代表の投稿に会社の大事な情報が残っているなら、交代の前に会社のサイトへ移しておくと安心です。前の代表のアカウントのプロフィールに、会社名と「代表」の肩書きが残ったままにならないよう、本人にお願いしておくことも忘れないでください。
8. 雄喜晃の伴走:会社の側の受け皿を、整えます
私たち雄喜晃がサイトをお作りするときは、社長の個人の発信を、会社のサイトの側から受け止める形を一緒に考えます。発信そのものを預かるのではなく、発信を見て来た人が迷わないページを用意するのが私たちの役目です。
私たちがやること
最初のお打ち合わせで、社長がどんな発信をしているか、どこまで会社のサイトから紹介したいかを伺います。そのうえで、代表挨拶のページに一言とリンクを添え、その下からサービスと問い合わせへ進めるように組みます。プロフィールに書く会社名と肩書きの一行も、ご相談いただければ一緒に考えます。
公開したあと、個人の投稿の中から「これはサイトに残しておきたい」というものがあれば、ご連絡ください。よくある質問や実績のページに書き直して載せます。
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、投稿をサイトに移す作業や、リンクの付け替えも月額の範囲でお受けできます。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
社長の個人アカウントの運用や、投稿の代筆はお受けしていません。個人の言葉は、ご本人が書くから届くものだからです。どのSNSを使うべきかをお勧めすることもいたしません。
また、ある投稿が表示や契約の決まりの上で問題になるかどうかを判断することもいたしません。業種によって違い、所管の窓口や専門家が答える話だからです。検索の順位や、問い合わせの件数をお約束することもいたしません。
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。「個人の発信は読まれているのに、会社のほうに人が来ていない気がする」という方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:個人は入口、会社のサイトは受け皿
社長が個人で発信しているときに、会社のホームページとつなぐ考え方は、5つです。
- 個人から会社への道を作る ― プロフィールに会社名と「代表」、リンクは代表挨拶のページへ
- サイトからの紹介は控えめに ― 代表挨拶から一言とリンクで。トップやフッターには並べず、埋め込まない
- 会社の約束ごとは、サイトに書く ― 料金や割引は個人の投稿で先に出さず、条件の正本をサイトに置く
- 私生活との距離を決める ― 分ける、控える、つながない。形は途中で変えてよい
- 止まる前に、サイトに移しておく ― よくある質問、考え方、事例。止まったらリンクを外す
社長の発信は、会社にとって大きな入口です。ただ、入口だけでは仕事になりません。確かめに来た人が確かめられて、頼みたい人が頼める場所が、会社のサイトの側に要ります。
今日できることを1つだけ挙げます。社長の個人アカウントのプロフィール欄を開いて、会社名と、会社のサイトへのリンクがあるかを確かめてください。無ければ、その一行を足すところからです。
「社長の発信と会社のサイトが、ばらばらのままになっている」という方は、一度ご相談ください。