1. 「AIに聞いてみたら、うちが出てこなかった」

中小企業の経営者の方とお話していて、最近こんな言葉を聞くようになりました。

「試しにAIに『この辺りで〇〇を頼める会社は』と聞いてみたんです。同業の名前は出てくるのに、うちは出てこない。何か対策をしないといけないんでしょうか」

検索の形が変わってきています。検索窓に言葉を入れて、並んだサイトを1つずつ開く。この流れに加えて、AIに文章で質問して、AIが文章で答えるという使い方が増えました。ChatGPTのような対話型のAIもそうですし、Googleの検索結果のいちばん上に、AIがまとめた回答が出ることもあります。

先に、この記事の立場を書いておきます。AIがどの会社を、どういう理由で紹介するのか。その仕組みは、どの会社も細かくは公開していません。ですから、「こうすれば紹介される」と言い切ることは、誰にもできません。私たちにもできません。

それでも、サイトの側で整えておけることはあります。どれも特別な技術ではなく、人が読んでも分かりやすいサイトにするための、昔からある基本です。この記事では、その基本を4つに分けて、それぞれ何を確かめればいいかを書きます。

この記事で書くこと

  • AIが答える検索で、分かっていることと、分かっていないこと
  • 会社の基本情報を、文字で正確に書く
  • よく聞かれる質問に、答えるページを持つ
  • ほかの場所に載っている情報と、一致させる
  • AIに読まれない設定が、知らずに入っていないかを確かめる
  • 「AI対策で必ず出ます」という売り込みへの向き合い方

2. AIが答える検索で、何が分かっていて、何が分かっていないか

対策の話に入る前に、前提を揃えておきます。ここを飛ばすと、根拠のない対策にお金を使うことになります。

分かっていること ― 材料は、どこかに公開されている情報

AIが質問に答えるとき、その答えの材料になっているのは、どこかに公開されている情報です。会社のホームページ、Googleマップの登録内容、業界団体の会員名簿、取引先のサイト、ニュースや記事。公開されていない情報を、AIが知ることはできません。

ここから言えることは1つです。貴社について正しい情報が公開されていなければ、AIは貴社を正しく紹介できません。紹介されないか、間違った内容で紹介されるかのどちらかになります。

分かっていないこと ― 何を、どの順で選んでいるか

一方で、分かっていないことのほうが多いのが実情です。

  • どの情報を、どれくらい信用しているか ― 公開されていません
  • 同じ質問でも、答えが毎回同じとは限らない ― 聞き方や時期で変わることがあります
  • AIの種類によって、材料の集め方が違う ― 検索結果を見に行くもの、過去に集めた情報で答えるもの、その両方を組み合わせるものがあります

Googleは、検索結果に出るAIの回答に載るために特別な対策は要らず、これまでの検索と同じ考え方でよい、という趣旨の案内を出しています。ただ、それ以上の細かい仕組みは公開されていません。分からないことを、分かったように扱わない。これがこの話のいちばん大事な前提です。

だから、やることは「材料を正しく置く」だけ

仕組みが分からない以上、こちらが手を動かせるのは材料の側だけです。貴社について、正しい情報を、読み取れる形で、矛盾なく置いておく。この先の4つの章は、どれもそのための作業です。

3. 会社の基本情報を、文字で正確に書く

最初に確かめるのは、いちばん地味なところです。貴社が何の会社で、どこにあって、何をしているのか。それがサイトに文字で書いてあるかどうかです。

書いてあるつもりで、書いていない

「そんなことは書いてありますよ」と言われることが多いのですが、実際に見ていくと、抜けていることがよくあります。

  • 何の会社かの1行がない ― 社名とキャッチコピーはあるのに、「〇〇市で△△をしている会社です」という説明がどこにもない
  • 対応エリアが書いていない ― 「地域密着」とだけあって、どの市町村まで行くのかが分からない
  • できることが一覧になっていない ― 事業内容が「各種工事」のようにまとめられていて、具体的に何を頼めるのかが分からない
  • 営業時間や定休日が、ページによって違う ― 古い情報が一部のページに残っている

人が読むなら、多少抜けていても、前後から推し量ってもらえるかもしれません。ただ、書いていないことを、推し量って紹介してもらえるとは考えないほうが安全です。

画像の中の文字は、読まれないと思っておく

もう1つ、よくあるのが大事な情報が画像の中にしかない状態です。

  • トップページの大きな写真に、事業内容を文字として焼き込んでいる
  • 料金表を、画像で1枚貼っている
  • 会社概要を、紙のパンフレットのPDFだけで載せている
  • 営業時間を、SNSの投稿にしか書いていない

画像の中の文字を読み取る技術はあります。ただ、文字として書かれた情報と同じように扱われるとは限りません。読み上げの機能を使って見ている人にも届きません。大事な情報は、画像に入れるとしても、同じ内容を本文の文字でも書いておいてください。

会社概要のページは、材料の倉庫になる

基本情報を1か所にまとめるなら、会社概要のページです。社名、所在地、電話番号、代表者、設立、事業内容、対応エリア、許認可。ここに書いてあることが、ほかのページや外部の情報と照らし合わせる基準になります。何を載せるかは 会社概要のページに、何を載せるか にまとめてあります。

会社の情報を、機械が読み取りやすい決まった形でページの裏側に書き添える方法もあります。ただし、これを書けば紹介されるというものではありません。本文に正しく書いてあることが先です。

4. よく聞かれる質問に、答えるページを持つ

AIに質問する人は、検索窓に単語を並べる人よりも、長い文章で、具体的に聞く傾向があります。「〇〇市で、土曜日も対応してくれる△△の会社は」「見積もりは無料か」「どれくらいの期間で終わるのか」。

こうした質問に、AIが答えを探しに行く先があるかどうか。ここが2つ目の確認点です。

問いと答えが、そのまま書いてあるか

いちばん素直なのは、よく聞かれる質問と、その答えをそのまま書いたページです。「土曜日も対応していますか」という問いに、「はい、土曜日は9時から17時まで対応しています。日曜・祝日はお休みです」と答えてある。

この形は、AIのためだけのものではありません。電話で毎回同じ説明をしている時間を減らすためのものでもあります。人の役に立つ形が、結果としてAIにも読み取りやすい形になっていると考えてください。作り方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる に詳しく書きました。

答えは、1行目に結論を書く

答えの書き方で気をつけることは1つです。1行目に結論を書く。

  • 悪い例 ― 「お客様のご要望によって異なりますので、まずはお気軽にご相談ください」
  • よい例 ― 「一般的な戸建ての場合、着工から2〜3週間です。外壁の傷みが大きい場合は延びることがあります」

前者は、何も答えていません。AIがこの文を材料にしても、質問した人に伝えられることがありません。後者は、条件つきですが、答えになっています。条件をつけて答えることと、答えないことは違います。

質問は、作文しない

こちらで質問を考えると、誰も聞いていない質問が並びます。電話やメールで実際に聞かれたことを、その言葉のまま書くのがいちばんです。

5. ほかの場所に載っている情報と、一致させる

3つ目の確認点は、サイトの外にあります。貴社の情報は、貴社のサイトだけに載っているわけではありません。

貴社の情報が載っている場所

思い出してみてください。貴社の社名や住所や電話番号は、どこに載っているでしょうか。

  • Googleマップ ― Googleビジネスプロフィールの登録内容
  • 業界団体・商工会などの会員名簿 ― 加入している団体のサイト
  • 取引先のサイト ― 協力会社一覧、施工パートナー、仕入れ先として
  • 地域や業種のポータルサイト ― 過去に登録したもの、勝手に載っているもの
  • SNSのプロフィール ― 説明欄とリンク先

AIが貴社を紹介するとき、どの場所の情報を見るかは分かりません。だからこそ、どこを見られても同じことが書いてある状態にしておくのが安全です。

食い違っていると、何が起きるか

たとえば、サイトでは「神戸市北区」、Googleマップでは移転前の住所、業界団体の名簿では旧社名のまま。こういう状態はめずらしくありません(例は架空です)。

情報が食い違っていると、読み取る側はどれが正しいのかを判断できません。人であれば電話して確かめられますが、AIはそうはいきません。古いほうの情報で紹介されたり、別の会社だと判断されたりすることもあり得ます。

社名の表記、住所の書き方、電話番号のハイフン。何も変わっていないのに少しずつずれている、ということも多いものです。表記を1枚のルールにまとめる手順は ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う に書きました。

揃える順番は、自分で直せるところから

全部を一度に揃える必要はありません。順番はこうです。

  • まず、自社のサイト ― 会社概要を基準として、ほかのページの表記を揃える
  • 次に、Googleマップ ― 自分で直せて、見られる機会も多い場所
  • その次に、団体や取引先 ― 担当者に連絡して、直してもらう
  • 最後に、ポータルや古い求人 ― 直せるものから。消せないものは、記録だけ残す

取引先のサイトは、こちらでは直せません。それでも、移転や社名変更のときに一言お願いしておくだけで、ずいぶん違います。

6. AIに読まれない設定が、知らずに入っていないか

4つ目は、技術的な確認です。ここは、ご自身では気づきにくいところなので、少し丁寧に書きます。

サイトには「読みに来ないでください」と書く場所がある

ホームページには、検索エンジンやAIの読み取りプログラム(クローラーと呼ばれます)に対して、「このサイトは読みに来ないでください」と伝える設定があります。サイトの決まった場所に置く小さなファイルや、各ページの裏側に書く指示で、読み取りを断ることができます。

これ自体は、正しく使えば便利な仕組みです。問題は、知らないうちに入っていることがある点です。

知らずに入る、よくある3つの場面

  • 制作中の設定が、公開後も残っている ― 作っている途中のサイトが検索に出ないように「読みに来ないで」と設定し、公開のときに外し忘れる
  • サーバーや配信サービスの初期設定 ― 管理画面に「AIのクローラーを拒否する」という項目があり、最初から有効になっている場合がある
  • 誰かが良かれと思って入れた ― 「AIに勝手に学習されないように」と、前の担当者や制作会社が設定した

3つ目は、悪いことではありません。AIに読まれたくないという判断も、立派な判断です。大事なのは、それを貴社が知っていて、選んでいるかどうかです。

「学習に使われたくない」と「紹介されたい」は、分けて考える

少しややこしいのですが、AIの読み取りプログラムには種類があります。AIを育てるための情報を集めるものと、質問に答えるときに検索して見に行くものが、別々に用意されている場合があります。

「学習には使われたくないが、紹介はされたい」という考え方もあり得ます。どこまで断るかは、貴社の考え方と業種で決めてください。ただ、全部まとめて断る設定にしていると、紹介の材料としても読まれなくなる可能性があります。

メールアドレスや電話番号が、機械には読めない形になっていないか

もう1つ。迷惑メール対策として、メールアドレスを機械に読み取られないよう変換する設定があります。人が見る画面では普通に表示されていても、裏側の文字は別のものに置き換わっている、という状態です。

迷惑メールを減らす効果はありますが、AIや検索エンジンからも、連絡先が読み取れなくなることがあります。どちらを優先するかは判断ですが、知らないまま入っている状態は避けてください。電話番号を画像にしている場合も同じです。

表:AIに読まれる前提で、サイトを確かめる5つの項目(例はすべて架空)
確かめることどこを見るかよくある抜け
何の会社かトップページと会社概要に、文字の1行があるかたとえば、事業内容が写真に焼き込まれているだけ
基本情報社名・住所・電話・営業時間・対応エリアが、全ページで同じかたとえば、営業時間が古いページだけ旧時間のまま
よく聞かれる質問実際に聞かれた問いと、1行目に結論がある答えが載っているかたとえば、答えが「ご相談ください」だけ
外部との一致Googleマップ・団体名簿・取引先のサイトと、表記が揃っているかたとえば、名簿が移転前の住所のまま
読み取りの設定クローラーを断る設定、連絡先を変換する設定が入っていないかたとえば、制作中の設定を外し忘れている

上の4つは、人が読んでも分かりやすくなる作業です。5つ目だけは画面を見ても分からないので、サイトを作った会社か、サーバーの管理画面を触れる人に確認してください。

確かめ方は、作った会社に聞くのが早い

この設定は、画面を見ても分かりません。サイトを作った会社か、サーバーの管理画面を触れる人に、「クローラーを断る設定は入っていますか」と聞いてください。入っているなら、何を断っているのか、誰がいつ入れたのかを確かめます。

あわせて、サーチコンソールを使っているなら、Googleがサイトを読めているかどうかも確かめられます。検索結果に自社がどう出ているかの見方は 検索結果に出ている自社の見え方を、直す にまとめてあります。

7. 「AI対策で必ず出ます」と言われたら

ここまで読んでいただくと、お分かりいただけると思います。AIに紹介されるために、サイトの側でできることは、地味な基本を整えることだけです。ところが、この話題には、もっと派手な売り込みが来ます。

気をつけたい売り文句

  • 「AI検索で必ず紹介されるようにします」 ― 仕組みが公開されていない以上、誰にも約束できません
  • 「AI専用の対策ページを大量に作ります」 ― 中身の薄いページが増えるだけで、人が読んで役に立たなければ意味がありません
  • 「今やらないと、AIの時代に取り残されます」 ― 急がせる言葉が出たら、いったん持ち帰って構いません
  • 「独自の技術でAIに登録します」 ― 何をどこに登録するのか、具体的に説明できるかを聞いてください

「必ず」「保証」という言葉が出た時点で、判断して構いません。まっとうな会社ほど、分からないことは分からないと言います。

その場で聞く3つの質問

それでも話を聞く場合は、次の3つを聞いてみてください。

  • 具体的に、サイトの何をどう変えるのですか ― 作業の中身が出てこなければ、そこで終わりで構いません
  • 効果は、何で確かめるのですか ― 「AIに聞いたら出た」は、聞き方次第で変わるので確かめ方になりません
  • やめたら、何が残りますか ― 解約したら作ったページが消える、という条件がないか

SEO対策の営業電話への向き合い方と、考え方は同じです。詳しくは 「SEO対策やります」という営業電話に、どう答えるか に書きました。

AIで文章を量産するのも、近道ではない

逆の方向の話も1つ。「AIに紹介されたいなら、AIで記事をたくさん書けばいい」という考え方もあります。中身が一般論だけの記事を増やしても、貴社を紹介する材料にはなりません。どこの会社にも当てはまる文章からは、貴社である理由が読み取れないからです。

文章づくりに生成AIを使うこと自体は、道具として悪くありません。ただ、事実を確かめずに出すと、実在しない実績が混ざることがあります。間違った情報をサイトに置くと、それがそのまま紹介の材料になってしまいます。使い方の線引きは ホームページの文章を、AIにどこまで書かせていいか にまとめました。

自社のことを、AIに聞いてみる

最後に、ご自身でできる確かめ方を1つ。ときどき、AIに貴社のことを聞いてみてください。「〇〇市の株式会社△△はどんな会社ですか」。

ここで見るのは、出てくるかどうかよりも、出てきた内容が正しいかどうかです。古い住所、やめた事業、間違った営業時間が出てきたら、どこかにその情報が残っています。直すのはAIではなく、元になっている情報の側です。答えは毎回変わることがあるので、1回の結果で一喜一憂しないでください。

8. 雄喜晃の伴走:基本を整えるところまで、手を動かします

私たち雄喜晃のホームページ制作では、この記事に書いた4つを、作るときの基本として扱っています。特別な「AI対策」としてではなく、人が読んで分かるサイトにする作業の一部としてです。

私たちがやること

  • 基本情報を文字で載せる ― 何の会社か、どこで何をしているかを、画像ではなく本文の文字で書きます
  • よくある質問を、実際の言葉で作る ― 電話やメールで聞かれていることを伺い、1行目に結論がある答えに直します
  • 外部の情報と照らし合わせる ― Googleマップなどの登録内容と、サイトの表記が揃っているかを一緒に確かめます
  • 読み取りの設定を確かめる ― 公開のときに、クローラーを断る設定や連絡先の変換が意図せず入っていないかを確認し、入れるかどうかは貴社と相談して決めます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、営業時間や対応エリアが変わったときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

AIの回答で紹介されることは、お約束しません。検索の順位も同じです。仕組みが公開されていないものを、約束することはできないからです。

また、AIに読ませるためだけの中身の薄いページを大量に作ることもしません。取引先や団体のサイトに載っている情報を、こちらが代わりに書き換えることもできません。直していただくための連絡の文面を、一緒に考えるところまでです。

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。私たちは神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。「AIの話を聞いて不安になったが、何から確かめればいいか分からない」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:特別な対策より、正しい材料を置く

AIが答える検索で、自社を紹介してもらうために、サイトの側でできることは4つです。

  • 基本情報を、文字で正確に書く ― 何の会社か、どこで何ができるか。画像の中だけに置かない
  • よく聞かれる質問に、答えるページを持つ ― 実際に聞かれた言葉で、1行目に結論を書く
  • ほかの場所の情報と、一致させる ― Googleマップ、団体名簿、取引先。どこを見られても同じ内容に
  • 読まれない設定を、知らずに入れていないか確かめる ― 断るなら、知ったうえで選ぶ

どれも、AIのためだけの作業ではありません。人が読んで分かりやすいサイトは、結果として機械にも読み取りやすいサイトになっているはずです。仕組みが変わっても、この4つが無駄になることはまずありません。

そして、「必ず紹介されます」という言葉には、いったん立ち止まってください。分からないことを分からないと言う相手のほうが、信用できます。

今日できることを1つだけ挙げます。貴社のトップページを開いて、「何の会社か」が文字で1行書いてあるかを確かめてみてください。写真の中ではなく、選択してコピーできる文字で書いてあるかどうか。そこから始めれば十分です。