1. 「わざわざ窓口を作ったら、苦情が増えそうで」
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。
「苦情の窓口をサイトに作ったほうがいいと言われたんです。でも、わざわざ作ったら、かえって苦情が増えそうで。今までは電話で言われたら、その場で対応してきましたし」
気持ちはよく分かります。窓口を作ることは、「どうぞ苦情をお寄せください」と言っているように感じるものです。
ただ、少し見方を変えてください。苦情は、窓口があるから生まれるのではありません。不満は、仕事の中で生まれます。窓口があるかどうかで変わるのは、その不満がどこへ行くかです。
貴社に直接届けば、事情を聞いて、直せることは直せます。届く先が見つからなければ、不満は口コミやSNSのような、誰でも読める場所へ向かいやすくなります。
この記事で書くこと
- 窓口を置かないと、苦情はどこへ行くか
- 問い合わせと同じ窓口でよいか、分けるか
- 置く前に、受け付けたあとの流れを社内で決める
- 窓口のページとフォームに書くこと、自動返信の文面
- 言葉づかいのきつい連絡を、社内のルールとしてどう扱うか
なお、Googleマップなどに書かれた口コミへの返し方は Googleマップの口コミに、どう返信するか にまとめました。この記事は、その手前の話です。口コミに書かれる前に、貴社に直接届く道を作っておくことを扱います。
2. 窓口を置かないと、苦情はどこへ行くか
まず、不満を持った人が何をするかを、順に追ってみます。
連絡先を探し回る
不満を伝えたい人は、まず貴社のサイトを開きます。そしてどこに言えばいいのかを探します。
ところが、問い合わせのフォームの種類が「お見積もり」「資料請求」「採用について」しかないサイトはよくあります。電話番号は小さく、受付時間も分かりません。
こうなると、伝えたい人はどれを選べばいいか迷い、迷っている間に気持ちが固まっていきます。最初は「ひとこと伝えたい」だったものが、探し回るうちに「この会社は聞く気がない」に変わります。
見つからないと、書きやすい場所へ行く
窓口が見つからない人が次に向かうのは、すぐに書ける場所です。Googleマップの口コミ、SNS、地域の掲示板。どれも、開けばすぐに書けます。
そこに書かれた内容は、これから貴社に頼もうか考えている人も読みます。返信をすることはできますが、返信も含めて、すべてが公開の場でのやり取りになります。事情を詳しく聞くことも、個別に謝ることも、公開の場では限られます。
直接届けば、直せる
一方で、貴社に直接届いた不満は、話を聞いて、事実を確かめて、直すことができます。担当者の説明が足りなかったのか、仕上がりに問題があったのか、行き違いがあったのか。分かれば、同じことが次のお客様に起きるのを防げます。
不満を伝えてくる人は、まだ貴社との関係を切っていない人でもあります。言ってくれる人がいるうちに、言える道を作っておく。窓口を置く意味は、そこにあります。
3. 問い合わせと同じ窓口でよいか、分けるか
では、どういう形で置くか。選び方は、大きく3つあります。
伝えたい人は、見積もりや資料請求の欄に無理に書くか、電話番号を探すか、あきらめます。届いた場合も、営業の担当者がいきなり読むことになります。
作るのは簡単で、小さな会社ならたいていこれで足ります。選んだ種類によって、通知が責任者にも届くようにしておくのがポイントです。
何を受け付けるか、誰が読むか、いつまでに返すかを書けます。店舗が複数ある、修理や保証の相談が多い、営業と別の人が受けたい会社に向きます。
②と③のどちらでも、受け付けたあとに誰が読み、いつまでに返すかが決まっていることが前提です。形を先に作って、社内の流れがあとになると、届いたものが止まります。
小さな会社は、同じ窓口に種類を足す
社員が少なく、社長や責任者がすべての問い合わせに目を通せる会社なら、今の問い合わせフォームに種類を1つ足すだけで十分なことが多いです。
種類の名前は、「苦情」と書くより「ご意見・ご不満」や「サービスについてのご意見」のほうが選びやすくなります。「苦情」という言葉は、書く側にも重く感じられるからです。
大事なのは、この種類を選んだ連絡が誰に届くかです。営業担当だけに届く作りだと、自分の対応への不満を、自分で最初に読むことになります。責任者にも同時に届くようにしておいてください。
分けたほうがよい場合
次のような会社は、専用の窓口ページを作ったほうが回りやすくなります。
- 店舗や営業所が複数ある ― どの店舗の話かを最初に聞く必要があります
- 修理や保証の相談が多い ― ご意見と、不具合の相談とを分けて受けたほうが早く対応できます
- 営業と別の人が受けたい ― 担当者への不満を、担当者を通さずに受けられます
専用ページを作る場合も、フォームは共通にして、種類で振り分ける作りで構いません。
電話で受けるかどうか
電話で受けるかも決めておきます。電話は早く伝えられる一方で、言った言わないになりやすく、受けた人が一人で抱えやすい窓口です。
電話でも受ける場合は、受付時間と、担当の部署名を書きます。電話を受けない場合は、「ご意見はフォームで承り、担当者から折り返します」と書いておくと、電話番号を探し回る人が減ります。
4. 置く前に、受け付けたあとの流れを社内で決める
窓口の形より先に決めておくことがあります。届いたあと、誰が、いつまでに、何をするかです。ここが決まっていないまま窓口を置くと、届いたものが誰にも読まれないまま止まります。止まった苦情は、届かなかった苦情より重くなります。
フォームや電話で届いた時点で、責任者を含む2人以上が気づける状態にします。届いた日時は、そのまま記録に残します。
答えを出す前に、人から「拝見しました。事実を確かめてご連絡します」と返します。たとえば「翌営業日まで」のように、社内で期限を決めます。
担当者や現場に話を聞き、記録を見ます。担当者本人への不満の場合は、本人だけに確かめさせないようにします。
何が分かったか、何をするか、何はできないかを伝えます。やり直しや返金などの判断は、誰が決めるかを先に決めておきます。
内容、対応、結果を1行ずつ残します。同じ種類の不満が重なったら、サイトの説明や仕事の進め方を直す材料にします。
流れは、一次の返信と、本当の回答を分けて考えるのが要点です。答えを出すまで黙っているより、先に「受け取りました」と人が返すほうが、話がこじれにくくなります。期限や担当は、貴社の人数で回せる形に決めてください。
誰が読むか
まず、届いた連絡を最初に読む人を決めます。苦情やご意見の種類は、責任者を含む2人以上に届くようにしておくのが基本です。1人だけに届く作りだと、その人が休んだ日に止まります。
問い合わせ全体の受け方、通知の届け先の決め方は 問い合わせが増えたあと、社内で何を決めておくか に書きました。苦情やご意見も、その仕組みの上に乗せるのがいちばん簡単です。
何日以内に返すか
次に、一次の返信と回答のそれぞれについて、期限を決めます。
一次の返信は、事実を確かめる前でも出せます。「拝見しました。担当の者に確かめて、○日までにご連絡します」。これだけで、送った人は「読まれた」と分かります。問い合わせ全般の返す早さの考え方は 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか にまとめてあります。
回答の期限は、内容によって変わります。すぐに答えられないときは、期限の前に途中の連絡を入れると決めておくと、黙ったまま期限を過ぎることがなくなります。
誰が判断するか
やり直し、返金、値引き、担当の交代。こうした対応の判断を誰がするかも決めておきます。受けた人がその場で約束してしまうと、あとで社内の判断と食い違います。受けた人が言ってよいのは、「確かめて、担当の者からご連絡します」までにしておくと安全です。
5. 窓口のページとフォームに書くこと
社内の流れが決まったら、それをサイトに書きます。
窓口のページに書くこと
専用のページを作る場合も、問い合わせページの中に一節を設ける場合も、書くことは同じです。
- 何を受け付けるか ― 「サービスや対応についてのご意見・ご不満を承ります」
- 誰が読むか ― 「責任者が拝見します」のように、担当者だけで止まらないことを示します
- いつまでに返すか ― 社内で決めた一次の返信の期限を書きます
- 受付の方法と時間 ― フォーム、電話、その受付時間
- 返信が要らないご意見も受けること ― 「返信不要」を選べるようにすると、気軽に送れます
書かないほうがよいこと
逆に、守れない約束は書かないでください。「すべてのご意見に誠心誠意お答えします」「ご要望にはすべてお応えします」。こう書くと、応えられなかったときに、約束を破ったことになります。
書くのは、決めた流れだけです。「拝見し、○営業日以内に担当者からご連絡します」。これなら、守れる範囲の約束になります。
フォームの項目
苦情やご意見の種類を選んだときに聞く項目は、多くしすぎないでください。気持ちが動いているときに長いフォームを渡されると、それ自体が不満になります。
- いつ、どの店舗やサービスのことか ― 分かる範囲で。選択肢と自由記入の両方があると書きやすくなります
- 内容 ― 自由に書ける欄を1つ
- 返信の要否と、連絡の方法 ― メールか電話か、返信は要らないか
- 写真などの添付 ― 仕上がりや品物の不具合なら、あると事実が早く分かります
フォームの項目をどこまで減らせるかは 問い合わせフォームで、人はどこで手を止めるのか に書きました。苦情やご意見も、基本は同じです。
受け取った内容には、お名前や連絡先、場合によっては家庭や取引の事情が含まれます。誰が見られるか、どれくらい保存するかも社内で決めておき、プライバシーポリシーと食い違わないようにしてください。
6. 自動返信の文面と、送信後の画面
フォームから送られたら、まず自動返信が届きます。苦情やご意見の場合、この一通が最初の印象を決めます。
自動返信に書くこと
自動返信の役目は、受け取ったことと、次に何が起きるかを伝えることです。
「ご連絡をいただき、ありがとうございます。内容は責任者が拝見し、○営業日以内に担当者からご連絡します。お急ぎの場合は、お手数ですが(電話番号・受付時間)までお電話ください。」
書いておくのは、受け取ったこと、誰が読むか、いつ連絡するか、急ぎのときの連絡先の4つです。
自動返信で、謝りすぎない
ここは少し迷うところです。苦情の自動返信に「このたびはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません」と入れるかどうか。
自動返信は、内容を誰も読んでいない時点で届く文です。そこで詳しく謝ると、何に謝っているのかが分からない文になります。送った人にも、定型の文だと伝わります。自動返信では受け取ったことへのお礼にとどめ、お詫びは、内容を読んだ人が、自分の言葉で書くほうが届きます。
「貴重なご意見をありがとうございます」だけで終わる自動返信も避けてください。次に何が起きるかが書かれていないと、送った人は待つしかありません。
送信後の画面
フォームを送ったあとに出る画面にも、自動返信と同じことを書いておきます。自動返信が迷惑メールに入って届かないこともあるからです。画面に「○営業日以内にご連絡します」と出ていれば、メールが見つからなくても安心できます。送信後の画面に何を書くかは 問い合わせを送ったあとの「送信完了」の画面に、何を書くか にまとめてあります。
7. 言葉づかいのきつい連絡は、社内のルールとして決める
窓口を置くことをためらう理由として、いちばん多いのがこれかもしれません。言葉づかいのきつい連絡や、無理な要求が来たらどうするかです。
窓口を置くことは、何でも応じることではない
先に、はっきりさせておきます。窓口を置くことは、どんな要求にも応じると約束することではありません。話を聞くことと、要求をすべて受け入れることは別です。
できることとできないことを伝え、できないことは理由を添えてお断りする。それも、窓口の大事な仕事です。無理な要求に応じる必要はありません。
線を引く基準を、先に決めておく
ただ、その場で受けた人が一人で判断すると、人によって対応がばらつきます。そこで、社内のルールとして、先に基準を決めておきます。
- 一人で対応しない ― きつい言葉が続くときは、途中で責任者に代わる。電話なら「確かめて折り返します」と区切ってよい
- 応じられない要求を決めておく ― 契約や約束にない対応、社員個人への謝罪の強要など、応じないものを社内で共有しておく
- やり取りを打ち切る条件を決めておく ― 同じ要求が繰り返される、脅すような言葉がある、といった場合の対応を決めておく
- 受けた人を守る ― 対応したあとに、責任者が話を聞く時間を取る
基準を窓口のページに書くかどうかは、会社によって判断が分かれます。書く場合は、「社員の安全のため、対応を控えさせていただく場合があります」のように、短く、冷たくない言い方にしてください。長く書くと、ふつうにご意見を送りたい人まで構えてしまいます。
記録を残す
応じない場合も、記録は残してください。いつ、どの窓口で、どんな内容が届き、誰がどう対応したか。メールやフォームの文面は、消さずに保存します。電話なら、日時と要点をその日のうちに書き留めます。
記録があれば、対応した人が替わっても、同じ話を一から聞き直さずに済みます。あとで社外の専門家に相談するときにも、記録がいちばんの材料になります。
専門家に確認する場面
いわゆるカスタマーハラスメントへの対応や、法的な対応が必要かどうかの判断は、業種や状況によって違います。ここで書いたのは一般的な考え方です。脅すような内容が届いた、社員の身の安全が気になる、損害の請求をほのめかされた、といった場合は、一人で抱えずに、所管の窓口や弁護士などの専門家に確認してください。
公開の場に書かれてしまった場合の返し方は、口コミへの返信の記事に書いたとおりです。個人の情報を書かない、言い訳を並べない、話の続きは外で、という考え方は、窓口に届いた連絡への返信でも同じです。
8. 雄喜晃の伴走:窓口の置き方と、届く先まで作ります
私たち雄喜晃は、サイトをお作りするとき、問い合わせの種類を決める場面で「ご意見やご不満は、どこに届けばいいですか」と伺います。窓口の形より先に、届いたあと誰が読むかを決めていただくためです。
私たちがやること
- 窓口の形を一緒に選ぶ ― 同じフォームに種類を足すか、専用のページを作るかを、貴社の人数と仕事の種類から決めます
- 届く先を分ける ― ご意見やご不満の種類が、責任者を含む複数の方に届くように作ります
- 窓口のページと自動返信の文面を作る ― 何を受け付けるか、誰が読むか、いつまでに返すかを、社内で決めた流れに沿って書きます
- 送信後の画面にも、同じことを出す ― 自動返信が届かない場合にも、次に何が起きるかが分かるようにします
料金と条件
料金は制作費0円、月額8,800円(税別)です。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、返す期限や受付時間を変えたときの書き換えも、ご連絡いただければ反映します。
最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。
私たちがやらないこと
- 苦情やご意見への対応そのものは代行しません。返信は、貴社の言葉で書いていただくのがいちばん届くと考えています。文面の型を一緒に作るところまではお手伝いします
- 法的な判断や、カスタマーハラスメントへの対応方針の判断はしません。そこは専門家にご確認ください
- 口コミの削除を代わりに求めることや、評価を上げる約束もしません。検索順位や問い合わせの増加をお約束することもしません
実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。
「不満を言いたいお客様が、うちのどこに連絡すればいいのか分からない」と気づいた方は、一度ご相談ください。
9. まとめ:窓口の形より先に、届いたあとの流れを決める
苦情やご意見の窓口をホームページに置くときに、押さえることは5つです。
- 苦情は窓口があるから生まれるのではない ― 窓口で変わるのは、不満の行き先。届く道が無いと、口コミやSNSに向かいやすい
- 小さな会社は、同じ窓口に種類を足す ― 「ご意見・ご不満」を選べるようにし、責任者にも届くようにする
- 置く前に、受け付けたあとの流れを決める ― 誰が読むか、一次の返信と回答の期限、誰が判断するか
- 自動返信は、受け取ったことと次の動きを書く ― お詫びは、内容を読んだ人が自分の言葉で
- きつい連絡への対応は、社内のルールにする ― 無理な要求に応じる必要はない。ただし記録を残し、迷ったら専門家に確認する
窓口を置くのは、苦情を集めるためではありません。言ってくれる人の声を、公開の場ではなく、貴社に直接届けてもらうためです。
まず、今日できること
貴社のサイトを、不満を伝えたいお客様のつもりで開いてみてください。どこに連絡すればいいかが、何秒で分かるか。問い合わせの種類に、選べるものがあるか。それを確かめるところから始められます。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。貴社に届く道を、社内の流れと一緒に決めるところからご一緒します。