1. 件数はあるのに、仕事が増えない
中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。
「ホームページから問い合わせは、月に5件くらいは来るんです。ただ、仕事になるのは1件あるかないか。正直、問い合わせの質が悪いんだと思っています。もっといいお客さんが来るように、サイトを作り直したほうがいいんでしょうか」
これは、問い合わせが少しずつ来はじめた会社が、次にぶつかる壁です。そして、ここで作り直しに進む前に、確かめていただきたいことがあります。
仕事にならない原因は、サイトにあることもあれば、返し方にあることもあります。どちらなのかで、直す場所はまったく変わります。
前の段階の記事との関係
この記事は アクセスは増えたのに、問い合わせが増えない の、ひとつ先の段階の話です。あちらは「人は来ているのに、問い合わせにならない」場合。こちらは「問い合わせは来ているのに、仕事にならない」場合です。
まだ問い合わせ自体がほとんど来ていない段階であれば、先にあちらをお読みください。来た人の中身を見る方法を書いています。
この記事でお伝えすること
この記事では、仕事につながらない問い合わせを4つに分けて数える方法と、その結果から原因がサイトにあるのか返し方にあるのかを切り分ける手順を書きます。そのうえで、それぞれの直し方と、直したあとの比べ方まで扱います。
道具は表計算1枚で足ります。専門的な分析は出てきません。
2. 「質が悪い」は、まだ結論ではない
最初に整理しておきたいのは、「問い合わせの質が悪い」という言葉の扱いです。
それは感想であって、原因ではない
「質が悪い」と感じるのは自然なことです。ただ、この言葉には何がどう悪いのかが入っていません。対応できない依頼が多いのか、返事が来ないまま消えるのか、比べられて負けているのか。中身によって、打ち手は正反対になります。
私が現場で見てきた限り、ここを分けずに「サイトを作り直そう」と決めてしまう会社が、本当に多いです。順番が逆になっています。先に、仕事にならなかった問い合わせの中身を分けるべきです。
記憶で判断すると、印象の強い1件に引っぱられる
もう1つ起きやすいのが、記憶だけで判断することです。人は、腹が立った1件や、手間をかけたのに断られた1件をよく覚えています。そして、それが全体の印象になります。
- 何度もやり取りしたのに、最後は「今回は見送ります」だった1件
- 電話で長く話したのに、そもそもエリア外だった1件
- 見積もりを出したら、そのまま連絡が途絶えた1件
どれも記憶には残りますが、全体の中で何件あったのかは、記録を見ないと分かりません。
先に切り分けないと、両方を直すことになる
原因が返し方にあるのにサイトを作り直すと、費用をかけたのに何も変わりません。逆に、原因がサイトにあるのに返信の文面ばかり磨いても、対象外の問い合わせは減りません。
どちらも「何かを直した」実感だけは残ります。だから余計に、次の判断を誤ります。直す前に1時間だけ使って、どちらの問題かを決めてください。それが、いちばん安い手当てです。
3. まず3ヶ月分を、4つに分ける
やることは単純です。直近3ヶ月に届いた問い合わせを、1件ずつ次の4つのどれかに入れていきます。
4つの分け方
- すぐ商談になった ― 打ち合わせや見積もり、現地の確認まで進んだもの。受注したかどうかは問いません
- 時期が先だった ― 「来年考えている」「まずは情報だけ」など、今すぐの依頼ではなかったもの
- 対象外だった ― エリア外、扱っていない業務、予算がまったく合わない、営業やスパムだったもの
- 返したが返事がなかった ― こちらから返信したのに、その後のやり取りが続かなかったもの
営業メールやスパムは、別に数えておいても構いません。ただ、件数が多いと全体の見え方が変わるので、実際のお客様からの問い合わせだけを4つに分けるほうが判断しやすくなります。
迷ったら、どれに入れるか
分けていると、どれにも当てはまりそうな1件が出てきます。そのときは、最後に起きたことで決めてください。
たとえば、打ち合わせまで進んだのに失注した1件は「すぐ商談になった」です。そこから先の負け方は、あとで別に見ます。返信したら「エリア外でした、すみません」と返ってきた1件は「対象外」です。返事が無かったわけではないからです。
件数で、そのまま書く
分け終わったら、それぞれの件数を書きます。率に直す必要はありません。たとえば「3ヶ月で15件のうち、商談4件・時期が先3件・対象外6件・返事なし2件」という形です。
15件という母数は、率で語るには小さすぎます。件数のまま眺めて、いちばん多いのはどれかだけを見てください。それで十分に方向が出ます。
すぐ商談になった/時期が先だった/対象外だった/返したが返事がなかった。迷った1件は、最後に起きたことで決めます。
全体を均等に直そうとしないことです。いちばん多い1つだけが、次に手を付ける場所を教えてくれます。
「対象外」が多いならサイトの問題、「返事がなかった」が多いなら返し方の問題です。「時期が先」が多いのは問題ではありません。
サイトなら、断る条件・料金の目安・よくある質問。返し方なら、短い1通目・日程の候補・見積もりを急がないこと。両方を同時に触らないのがこつです。
直す前と同じ分け方で数えます。いちばん多かった箱の件数が減り、「すぐ商談になった」の件数が増えていれば、直した場所は合っています。
読み方は上から下へです。大事なのは段階3で、サイトか返し方かのどちらか1つに決めることです。両方を同時に直すと、何が効いたのかが分からなくなり、次の判断ができません。
4. 「対象外」が多いなら、サイトの問題
4つの中で「対象外だった」がいちばん多い場合、原因は返し方ではなく、問い合わせが来る前の段階にあります。読んだ人が「自分の件も対応してもらえそうだ」と受け取って送っている、ということです。
対応できないことが書かれていない
いちばん多いのがこれです。サイトには「できること」は書いてあるのに、できないことが書いていない。読む人は、書いていないことを「たぶん大丈夫」と受け取ります。
- 個人のお客様は受けていないのに、そのことが書かれていない
- 小さな修理だけの依頼は受けていないのに、「どんなことでもご相談ください」と書いてある
- 特定の素材やメーカーには対応していないのに、扱っている一覧しか載っていない
断る側から見ると、何度も同じ説明をしていることになります。そして、そのたびに相手もこちらも時間を使っています。
料金の目安が無い
料金が一切書かれていないと、予算が大きく違う人も問い合わせてきます。金額の話になった瞬間に「思っていたのと桁が違いました」で終わる。これも「対象外」に入ります。
料金を載せるかどうかの考え方は ホームページに料金を載せるか、載せないか に詳しく書きました。正確な金額が出せなくても、目安と条件は書けます。
対応エリアが曖昧
「関西一円」「近畿エリア」のような書き方だと、端のほうの地域の人は判断できません。所在地しか書いていない場合はなおさらで、遠方の人が「出張してもらえるだろう」と送ってきます。
市区町村の名前で書く、移動時間で書く、出張費がかかる範囲を書く。読む人が自分の住所を当てはめて判断できる書き方にしてください。
直し方 ― 断る条件、料金の目安、よくある質問
サイト側の直し方は、3つに絞れます。
- 断る条件を書く ― 受けていない依頼、対応していない地域、最低限の規模。拒絶ではなく、合う人を探している文章として書きます
- 料金の目安を書く ― 「〇〇の場合は〇万円台から」のように、条件つきの数字で構いません
- よくある質問で事前に答える ― 対象外の問い合わせで繰り返し聞かれたことを、そのまま質問と答えにします
3つ目は、対象外の問い合わせそのものが原稿になります。同じ説明を3回以上していれば、それはサイトに書くべき内容です。質問ページの作り方は 「よくある質問」を作ると、電話の本数が変わる にまとめてあります。
5. 「返事がなかった」が多いなら、返し方の問題
次に、「返したが返事がなかった」がいちばん多い場合です。この場合、サイトは役目を果たしています。対象の人が、送るところまでは来ているからです。止まっているのは、そのあとです。
返信が遅い
まず確かめていただきたいのが、返信までにかかった時間です。問い合わせをした人は、たいてい1社だけに送っていません。先に返ってきた会社と話を始めていれば、後から届いた返信は読まれないまま終わります。
何時間以内に返すべきかは 問い合わせが来たあと、何時間以内に返すべきか に書きました。「返事がなかった」の中には、こちらが遅かっただけの件が混ざっていることがあります。受信と返信の時刻を記録の表に並べると、すぐ分かります。
最初の返信で、長文を送っている
意外に多いのがこれです。丁寧に返そうとするあまり、会社の紹介、サービスの説明、料金の考え方、注意事項までを1通目に詰めてしまう。読む側は、スマートフォンで開いてその長さを見た瞬間に、後で読もうと閉じます。そして、そのまま忘れます。
丁寧さは大事です。ただ、最初の返信で伝えるべきことは、ほとんどありません。届いたことと、次にどうするか。それだけです。
次に何をすればいいか、書いていない
返信の最後が「ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください」で終わっている。これも、返事が来なくなる大きな理由です。相手からすると、次に何をすればいいのかが分かりません。
質問を考えて書くのは、相手にとって手間です。手間がかかることは後回しにされます。次の一手は、こちらから出す必要があります。
直し方 ― 短く、次の一手を1つだけ
返信側の直し方も、3つに絞れます。
- 最初の返信は短くする ― お礼、内容を読んだことが分かる1行、次の一手。スマートフォンの1画面に収まる長さが目安です
- 次の一手を1つだけ書く ― 電話で話す、現地を見る、写真を送ってもらう。複数を並べると、相手は選ぶことで止まります
- 日程の候補を2〜3出す ― 「ご都合の良い日時をお知らせください」ではなく、「木曜の午後か、金曜の午前はいかがでしょう」と具体的に出します
たとえば、こういう形です。
「お問い合わせありがとうございます。〇〇の件、拝見しました。一度お電話で15分ほどお話を伺えますか。明日の午後か、明後日の午前でしたら、こちらからおかけします」
これで十分です。会社の説明は、話したときにすればいい。1通目の役割は、話す約束を取ることだけです。
見積もりは急がない
もう1つ、返し方で多いのが、最初の返信でいきなり見積もりを出すことです。早く出したほうが誠実に見えますし、相手も金額を知りたがっています。
ただ、情報が足りないまま出した金額は、たいてい高めか、条件だらけになります。そして相手は、その金額だけを持って他社と比べます。金額だけが届いて、貴社が何をする会社なのかは届いていない状態です。返事が来なくなるのは、そのためです。
見積もりは、話を聞いたあとに出す。その順番を1通目で伝えておけば、相手も納得します。
6. 「時期が先」と、「相見積もりで落ちた」
残りの2つの話をします。どちらも、サイトや返し方を直す話とは少し性質が違います。
「時期が先」が多いのは、問題ではない
「時期が先だった」がいちばん多い場合、それは問題ではありません。検討を始めた早い段階で、貴社を見つけてくれているということです。むしろ、うまくいっている兆候と言えます。
この層を「質が悪い」と感じてしまうのは、今月の数字にならないからです。けれども、来年に依頼する人が今年の時点で連絡をくれているのは、本来とてもありがたい状態です。
記録しておいて、時期が来たら連絡する
やることは、記録の表に次に連絡する月を1つ書いておくことだけです。「来春に考えている」なら、2月に1行の連絡を入れる。それで十分です。
問い合わせが増えたときの仕分けと、この層を取りこぼさないための決めごとは 問い合わせが増えたあと、社内で何を決めておくか に書きました。取りこぼしがいちばん多いのは、断られた案件ではなく、この「時期が先」の層です。
相見積もりで落ちているとき
「すぐ商談になった」は多いのに、最後に他社に決まってしまう。これは4つの分け方とは別の見方が要ります。打ち合わせまで進んでいるので、サイトも返し方も機能しています。負けているのは、比較の段階です。
ここで多くの経営者の方が「価格で負けた」と考えます。もちろんそういう件もあります。ただ、失注の理由を聞いてみると、金額そのものより、何が違うのかが分からなかったので安いほうにしたという答えが返ってくることがあります。
料金ではなく、違いを伝える
比べる側は、横に並べた見積書を見て判断します。そこに金額しか違いが無ければ、金額で決めるしかありません。
- 見積書に含まれている作業と、含まれていない作業を書き分ける
- 他社の見積もりと比べるときに見てほしい点を、1枚添える
- 実績ページに、同じ規模・同じ業種の事例を載せておき、見積もりと一緒にリンクを送る
値下げより先に、比べる材料を相手に渡すことを試してください。発注する側がどう比べているかは ホームページの相見積もりを、公平に比べる方法 に、制作を頼む側の立場で書いています。業種が違っても、比べる人の頭の中は似ています。
7. 数字の見方と、直す順番
最後に、直したあとの見方と、手を付ける順番です。
率ではなく、件数で見る
「成約率」という言葉はよく使われますが、中小企業の問い合わせの規模では、率はほとんど当てになりません。月に5件のうち1件が受注なら20%、2件なら40%です。1件の違いで、率は倍になります。
ですから、見るときは月に何件中、何件かで書いてください。「5件中、商談2件、受注1件」。こう書けば、1件の増減に振り回されずに済みます。率を見たいなら、3ヶ月か半年をまとめてからにします。
質を上げようとして、減らしすぎない
サイトに断る条件を書くと、問い合わせの件数は減ります。それ自体は狙いどおりです。ただ、書きすぎると、本来は対象だった人まで送るのをやめてしまうことがあります。
- 「〇万円以下はお受けしません」と書いたら、少し下回る予算の人が誰も来なくなった
- 条件を細かく並べすぎて、どの条件にも当てはまらない人まで遠慮してしまった
直したあとに「すぐ商談になった」の件数まで減っているなら、絞りすぎています。見るべきは問い合わせの総数ではなく、商談になった件数です。そこが減っていないかだけは、必ず確かめてください。
記録を1枚の表にしておく
ここまでの話は、すべて記録が前提です。難しいものは要りません。表計算1枚に、1件1行で次の項目を書くだけです。
- 受け取った日時と、最初に返した日時
- 4つのうちどれか(すぐ商談/時期が先/対象外/返事なし)
- 対象外なら、その理由を一言
- 時期が先なら、次に連絡する月
- 商談になったなら、結果(受注/失注/検討中)
これを続けておくと、半年後に効いてきます。どの季節に「時期が先」が増えるのか、どの理由の対象外が繰り返されているのか。記憶では見えなかったことが、表の上に出てきます。
何を測ればいいかの全体像は ホームページを作ったあと、何を測ればいいか にもまとめています。
手を付ける順番
- 最初の1週間 ― 直近3ヶ月分を4つに分けて、件数を書く。いちばん多いのはどれかを決める
- 翌月 ― 決めた側だけを直す。サイトなら断る条件と料金の目安、返し方なら1通目の型
- 3ヶ月後 ― 同じ4つで数え直す。いちばん多かった箱が減り、商談の件数が増えているかを見る
この順番で進めると、3ヶ月で「何が効いたか」が1つ分かります。分かったことは、次の判断の材料として社内に残ります。
8. 雄喜晃の伴走:サイトか返し方か、一緒に切り分けます
私たち雄喜晃のホームページ制作では、公開したあとに問い合わせの件数と、その中身を一緒に見ることを大事にしています。アクセスの数字だけでは、仕事につながっているかどうかが分からないからです。
代表の木戸が、ヒアリングから制作、公開後の運用まで直接担当します。対象外の問い合わせが多いと分かれば、断る条件や料金の目安、よくある質問を書き足します。原稿は「ご用意ください」とは申し上げず、お話を伺ってこちらで書き起こします。こうした修正は、月5回までの更新代行として月額の中に含まれています。
料金と条件
- 制作費は0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です
- サーバー、ドメイン、SSL、保守は月額に含まれます
- 最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします
月額制がどこで費用を回収しているのかは 「制作費0円」のホームページは、どこで回収されているのか に包み隠さず書いてあります。
私たちがやらないこと
はっきり書いておきます。お客様への返信を、私たちが貴社の名前で代わりに送ることはしません。1通目を書くのは貴社の方です。外の人間が返すと、商談の場で話が噛み合わなくなるからです。私たちがするのは、返信の型を一緒に作ることと、記録の表を一緒に読むことです。
もう1つ。成約率を上げますという約束も、私たちはしません。受注するかどうかは、最後は貴社の仕事の中身と、お客様との相性で決まります。私たちが約束できるのは、分析や提案だけで終わらせず、原因がどこにあるかを一緒に確かめて、サイトの側でできることを実際に直すところまでです。
「問い合わせは来ているのに、なぜか仕事にならない」という会社は、一度ご相談ください。今のサイトのままで構いませんので、3ヶ月分の問い合わせを一緒に分けるところからで結構です。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。
9. まとめ:直す前に、どちらの問題かを決める
問い合わせは来るのに仕事にならないとき、やることは次のとおりです。
- 3ヶ月分を4つに分ける ― すぐ商談/時期が先/対象外/返事なし。件数のまま書きます
- 対象外が多いなら、サイトを直す ― 断る条件、料金の目安、よくある質問
- 返事なしが多いなら、返し方を直す ― 短い1通目、次の一手を1つ、日程の候補を2〜3つ
- 時期が先は、問題ではない ― 次に連絡する月を書いておくだけです
- 相見積もりで負けているなら、違いを渡す ― 値下げより先に、比べる材料を
そして、直したあとは率ではなく件数で見ること。絞りすぎて、商談になる件数まで減らしていないかを確かめることです。
「質が悪い」と感じたときほど、作り直しを考えたくなります。けれども、原因が返し方にあるなら、作り直しても何も変わりません。直す場所を1つに決めてから動く。それだけで、使う時間も費用も小さく済みます。
まずは今日、直近3ヶ月の問い合わせを書き出して、4つの箱に分けてみてください。いちばん多い箱が、次に手を付ける場所を教えてくれます。
ぜひ一度、お話を聞かせてください。問い合わせを仕事に変えるところから、ご一緒します。