1. 「同業のサイトには、どこも『こんなお悩みの方に』があるんです」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉を聞くことがあります。

「同業のホームページを見ると、どこも『こんなお悩みはありませんか』というのがあって、チェックの印が5つくらい並んでいるんです。うちも入れたほうがいいんでしょうか。ただ、何を書いても、よそと同じになる気がして」

この感覚は、当たっています。「こんなお悩みはありませんか」の箇条書きは、多くの場合、どの会社のものも同じに見えます。社名を入れ替えても、そのまま通じてしまう。読む人も、それに気づいています。

それでも、このブロックそのものが悪いわけではありません。うまく書かれた「こんな方に」は、読んだ人に「これは自分のことだ」と思わせ、問い合わせの一歩手前まで連れていきます。違いは、何をどう書くかです。

この記事で書くこと

  • どこも同じになる理由 ― 悩みを、業種の一般論で書いている
  • 書くかどうかの判断 ― 書いたほうがいい場合と、書かなくていい場合
  • 場面で書く ― 読んだ人が「自分のことだ」と思える書き方
  • 合わない方も書く ― お断りではなく、案内として
  • 分け方・置き場所・数 ― 法人と個人、業種別、トップかサービスページか

関連する記事との役割を、先に分けておきます。強みは「貴社が選ばれてきた理由」で、「うちの強み」を、ホームページにどう書くか に書きました。この記事の「こんな方に」は、読む人の側の場面の話です。向きが逆になります。

2. 「こんなお悩みはありませんか」が、どこも同じになる理由

よく見る箇条書きが、なぜどこも同じになるのか。理由は3つあります。

悩みを、業種の一般論で書いている

たとえばリフォームの会社なら「水まわりが古くなってきた」「どこに頼めばいいか分からない」「費用が心配」。どれも本当の悩みです。ただ、その業種の誰もが抱える悩みなので、どの会社が書いても同じ言葉になります。

一般論の悩みは、読む人に「そうそう」とは思わせても、「だからこの会社に」とは思わせません。どの会社でも解決できそうな悩みだけが並んでいるからです。

箇条書きの形が、読み飛ばされる

チェックの印が並んだ箇条書きは、見た目で「よくあるあれだ」と分かります。形が見慣れているほど、中身を読まずに通り過ぎられます。

1行が短いほど、この傾向は強くなります。「費用が心配」の5文字では、読む人の頭の中に場面が浮かびません。

来てほしい人が、決まっていない

いちばん根っこにあるのは、ここです。どんな人に連絡してきてほしいのかが社内で決まっていないと、誰も外さないように書くことになります。誰も外さない文は、誰の心にも引っかかりません。

「こんな方に」を書く前に、来てほしい人を思い浮かべる。この順番を逆にすると、どの会社とも同じ箇条書きができあがります。

3. 書くかどうかを、先に決める

「こんな方に」は、どの会社にも要るものではありません。先に、書くかどうかを決めます。

書いたほうがいい場合

  • 自分が頼んでいいのか迷う人が多い ― 「こんな小さなことで頼んでいいのか」「うちの規模で相手にしてもらえるのか」と迷われやすい仕事
  • 同じ業種の中で、得意が偏っている ― 同業と比べて、受けている仕事の種類やお客様に偏りがある
  • 依頼のきっかけが、人によって違う ― 同じサービスでも、頼む理由がいくつかに分かれている

1つ目がいちばん効きます。迷っている人の背中を押すのが、このブロックの役目だからです。

書かなくていい場合

  • 誰が使うかが、サービスの名前で分かる ― 何をする会社かを見れば、誰が頼むかが明らかな場合
  • 仕様や条件で選ばれる仕事 ― 法人の担当者が、寸法や数量や納期で発注先を探している場合。この場合は、対応できる仕様の一覧のほうが役に立ちます

書かなくていい場合に無理に作ると、先ほどの一般論の箇条書きになります。書かないという判断も、立派な判断です。

強みとの違いを、分けておく

書くと決めたら、強みのブロックとの違いを確かめておきます。

  • 強み ― 貴社が何をしているか。会社の側から見た事実
  • こんな方に ― 読む人がどんな場面にいるか。お客様の側から見た状況

同じ内容を、向きだけ変えて2回書いてしまうことがよくあります。強みは「当社は〜します」、こんな方には「〜という方」。主語が違えば、書くことも分かれます。

4. 「自分のことだ」と思える場面を書く

ここが本題です。一般論の悩みを、読んだ人が自分の状況を重ねられる場面に書き換えます。

悩みではなく、そのときの場面を書く

「費用が心配」は悩みです。場面にすると、こうなります。

「親の家を片付けることになったけれど、何部屋分でいくらかかるのか、見当もつかない方」

悩みは同じ「費用」でも、いつ、何が起きて、何に困っているかが入ると、読む人は自分がそこにいるかどうかを判断できます。当てはまる人には、「自分のことだ」と届きます。

サービス紹介のページで「誰に」を場面で書く考え方は、サービス紹介のページは、どの順番で書けばいいか でも触れました。この記事では、その場面の作り方をもう少し細かく書きます。

場面には、3つの材料を入れる

場面を書くときは、次の3つを入れると具体的になります。

  • きっかけ ― 何が起きて、考え始めたのか(引っ越し、代替わり、取引先の要望、設備の故障など)
  • 状況 ― 今どうなっているのか(急いでいる、比べている、前に頼んだところと連絡が取れない、など)
  • 困っていること ― 何が分からないのか、何が決められないのか

3つ全部が入らなくても構いません。2つ入れば、一般論から一歩抜けます。

お客様が最初に言った言葉から拾う

場面は、会議室で考えるより、実際のお客様の最初のひと言から拾うほうが早く、確かです。

問い合わせのメールの1行目、電話の第一声、初回の打ち合わせで最初に出た話。ここには、お客様が自分の状況を自分の言葉で説明したものが残っています。過去の問い合わせを10件ほど読み返すと、似た場面が何度も出てくるはずです。何度も出てくる場面が、書くべき場面です。

そのまま載せるのではなく、個人が分からない形に直して使ってください。お客様の言葉を「お客様の声」として載せるのとは別の話です。

表:よくある「こんなお悩み」を、場面に書き直す(例はすべて架空)
よくある書き方場面に書き直したもの足したもの
費用が心配たとえば「親の家を片付けることになったが、何部屋分でいくらかかるのか見当がつかない方」きっかけ(親の家)と困っていること(見当がつかない)
どこに頼めばいいか分からないたとえば「前に頼んだ業者と連絡が取れなくなり、続きを見てくれるところを探している方」今の状況。同じ悩みでも、探している相手がはっきりする
急いでいるたとえば「取引先から来月までに書類をそろえるよう言われ、何から手を付けるか決めかねている方」期限ときっかけ。どれくらい急いでいるかが伝わる
小さな依頼でも大丈夫?たとえば「扉1枚の建て付けだけを直したいが、こんな小さなことを頼んでいいか迷っている方」依頼の大きさを具体的に。迷っている気持ちも書く
初めてで不安たとえば「会社を立ち上げたばかりで、どこまでを外に頼むものなのか分からない方」誰が、どの段階にいるか。「不安」だけでは場面にならない

右の例は、どれも架空です。中身は、貴社に実際に来た問い合わせの最初のひと言から作ってください。場面が具体的になるほど当てはまる人は減りますが、当てはまった人には届きやすくなります。

数は、3〜5つ

場面の数は、3つから5つが目安です。2つだと、当てはまらない人が多くなります。6つを超えると、また一覧に見えて読み飛ばされます。

並べる順番は、いちばん多いお客様の場面を先に。最初の1つで「自分のことだ」と思った人は、残りも読みます。

5. 合わない方も書く:お断りではなく、案内として

「こんな方に」を書いたら、その裏側も書いておくと親切です。この会社では、お役に立ちにくい方です。

合わない方を書く理由

合わない人が問い合わせてきて、話を聞いてから「うちではちょっと」となると、お互いに時間を使います。先に書いてあれば、合わない人は迷わずに次の行き先を探せます。

もう1つ理由があります。合わない方が書いてあると、合う方への言葉が信じてもらいやすくなります。何でも引き受けると書いてある会社より、得意と不得意を分けて書いてある会社のほうが、得意の言葉に重みが出ます。

書き方の温度

ここは書き方で印象が大きく変わります。お断りの文ではなく、案内の文として書いてください。

「新築の住まいを一から建てたい方は、設計から手がける会社にご相談されるほうが、話が早く進むと思います」

断るのではなく、どこへ行けばいいかを添える。こう書くと、読んだ人は突き放されたと感じにくくなります。行き先は、特定の会社名ではなく「設計から手がける会社」「お住まいの市の相談窓口」のような一般的な言い方で十分です。

合わない方は、1〜3つで足りる

合わない方を長く並べると、断ってばかりの会社に見えます。1つから3つで十分です。選ぶのは、実際に問い合わせが来て、お受けできなかったことが多いものです。

人の属性で線を引かない

合わない方を書くときは、依頼の中身や条件で線を引きます。年齢や性別のような、人の属性で線を引く書き方は避けてください。業種によっては、表示の仕方に決まりがある場合もあります。気になる表現があるときは、所管の窓口や専門家に確認してください。

6. 法人と個人、業種別に分けるか

お客様の種類が多い会社では、「こんな方に」を分けるかどうかで迷います。

分けるのは、場面がまったく違うとき

個人のお客様と法人のお客様では、同じサービスでも、頼むきっかけも困っていることも違います。場面が違うなら、分けて書きます。1つの箇条書きに混ぜると、個人の方は法人向けの場面を、法人の方は個人向けの場面を読み飛ばすことになります。

トップで入口を分ける方法や、個人と法人それぞれが知りたいことは 個人のお客様と法人のお客様、両方を相手にする会社のホームページ にまとめました。入口を分けているなら、「こんな方に」もそれぞれの入口の先に置くのが自然です。

業種別に分けるかは、実績で決める

法人のお客様の業種で分けるかどうかは、その業種の実績があるかどうかで決めます。「製造業の方へ」「飲食店の方へ」と分けて書くなら、それぞれに実際の仕事がある業種だけにしてください。

実績のない業種を並べると、その業種の人が問い合わせてきたときに話がかみ合いません。並べた業種の数で幅広さを見せるより、実際によく受けている2〜3業種に絞るほうが伝わります。

当てはまらない人の行き先を残す

分けると、どれにも当てはまらない人が出ます。その人のために、「上のどれにも当てはまらない方も、まずはご相談ください」の一行を残しておいてください。この一行があるだけで、分けたことで取りこぼす人を減らせます。

7. 置き場所と、増やしすぎないこと

書く中身が決まったら、どこに置くかです。置く場所によって、書く長さも変わります。

図:「こんな方に」を置く3つの場所と、それぞれの書き方
① トップページ
短く、3つまで

最初の画面ではなく、その少し下に置きます。場面は1行ずつにして、詳しくはサービスのページへつなぎます。ここでは「自分の行き先がある」と分かれば十分です。

当てはまった人を、サービスのページへ送る
② サービスのページ
場面を3〜5つ、合わない方も

「何を」の次に「誰に」として置きます。いちばん詳しく書く場所です。合わない方への案内も、ここに添えます。

いちばん詳しく書くのは、ここ
③ 初めての方へ
迷っている人への一言

「こんなことで頼んでいいのか」と迷っている人に向けて、小さな依頼や初めての依頼も受けていることを書きます。初回の流れにつなげます。

迷いをほどいて、初回の流れへ

3か所に同じ文を貼るのではなく、置く場所ごとに長さと役目を変えます。全部に置く必要はありません。まずは②のサービスのページから書いてください。

トップページ:最初の画面には置かない

トップの最初の画面は、「何の会社か」を伝える場所です。見出しの決め方は トップページの見出しを、どう決めるか に書きました。「こんな方に」は、その下に置きます。最初の画面で会社を知った人が、次に「自分は頼んでいい人か」を確かめる場所です。

トップでは、場面を短く3つまで。詳しく書くのは、サービスのページに任せます。

サービスのページ:いちばん詳しく書く

サービスのページでは、「何を」の次に「誰に」を置きます。場面を3〜5つと、合わない方への案内を、ここでいちばん詳しく書きます。サービスが複数あるなら、サービスごとに場面は変わるはずです。

初めての方へ:迷いをほどく一言

「初めての方へ」のページがあるなら、そこにも短く置けます。役目は、「こんな小さなことで頼んでいいのか」という迷いをほどくことです。初回の流れを書くページなので、場面を並べるより、迷っている人への一言にとどめます。ページの組み立ては 「初めての方へ」のページは、要るのか。要るなら何を書くか にまとめました。

増やしすぎない

一度書くと、場面を足したくなります。新しいお客様が来るたびに1行増やしていくと、いつのまにか10行を超えて、最初の一般論の一覧に戻ってしまいます。

1つ足したら、1つ外す。この決まりにしておくと、数が増えません。外すのは、最近その場面の問い合わせが来ていないものです。

半年に一度、問い合わせと見比べる

書いた場面が今も合っているかは、問い合わせの中身と見比べると分かります。半年に一度、直近の問い合わせの最初のひと言を読み返して、書いてある場面と合っているかを確かめてください。来ている場面が書かれていなければ足し、書いてある場面が来ていなければ外します。

8. 雄喜晃の伴走:お客様の最初のひと言から、場面を一緒に書き起こします

私たち雄喜晃のホームページ制作では、「こんな方に」を、書くかどうかから一緒に決めます。書かなくていい会社には、書かないことをおすすめします。

私たちがやること

  • 過去の問い合わせや、最初の電話でよく聞く言葉を伺う ― そこから、何度も出てくる場面を拾います
  • 場面を3〜5つに絞り、原稿にする ― きっかけ・状況・困っていることを入れて書き起こします
  • 合わない方への案内も、一緒に言葉にする ― お断りではなく、行き先を添える形で
  • 強みのブロックと重ならないように組む ― 主語を分けて、トップとサービスのページに置き分けます

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守はすべて月額に含まれます。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、半年ごとに場面を見直したときの書き換えも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

  • 実際に来ていないお客様の場面を、作文して並べることはしません。書くのは、貴社に実際に来た依頼から拾った場面だけです
  • どの会社にも当てはまる「こんなお悩みはありませんか」の一覧で、枠を埋めることもしません
  • 表示の決まりについて、判断を代わりに下すことはしません。気になる表現は、所管の窓口や専門家に確認していただくようお願いしています
  • 検索の順位や、問い合わせの数をお約束することもしません

実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月に設立した会社です。

「同業と同じ『お悩み』の一覧しか書けずにいる」という方は、一度ご相談ください。

9. まとめ:一覧ではなく、場面で書く

ホームページに「こんな方に」を書くときに押さえることは、5つです。

  • 書くかどうかを先に決める ― 頼んでいいか迷う人が多い仕事なら書く。仕様で選ばれる仕事なら、仕様の一覧のほうが役に立つ
  • 悩みではなく、場面で書く ― きっかけ・状況・困っていることのうち、2つ以上を入れる
  • 場面は、お客様の最初のひと言から拾う ― 何度も出てくる場面を、3〜5つ
  • 合わない方も、案内として書く ― 行き先を添えて、1〜3つ。人の属性では線を引かない
  • 置く場所ごとに長さを変え、増やしすぎない ― トップは短く、サービスのページで詳しく。1つ足したら1つ外す

どこも同じ箇条書きになるのは、書く力が足りないからではありません。読む人の場面ではなく、業種の一般論から書き始めているからです。

まず、今日できること

直近の問い合わせを3件だけ開いて、最初の1行を書き出してみてください。そこに書かれている「きっかけ」と「困っていること」に印を付ける。その3行が、貴社の「こんな方に」の下書きになります。