1. 「落ち着いたら、ちゃんと作ろうと思っているんです」

「ホームページは、ずっと作らないといけないと思っているんです。でも今は忙しくて。落ち着いたら、ちゃんと取りかかろうと。……そう言い続けて、気づいたら何年も経っていました」

中小企業の経営者の方とお話していると、こうした言葉をよく伺います。怠けているわけではありません。むしろ逆で、目の前の仕事をきちんと回しているからこそ、後回しになっているのです。

ただ、「落ち着いたら」という時期は、待っていてもなかなか来ません。来たとしても、そのときには別の用事が入っています。いい時期を待つより、いい時期を自分で決めてしまうほうが早い。これが、この記事でお伝えしたいことです。

この記事の役割

ホームページの話には、時間にまつわるものがいくつかあります。先に役割を分けておきます。

この記事で書くこと

  • 「落ち着いたら」が来ない理由
  • 始める時期を、使いたい日から決める考え方
  • 繁忙期の前に出したいときの、始め方
  • 開業・移転・新サービス・採用に合わせるとき
  • 決算や補助金の時期に、引っぱられすぎないこと
  • 完璧にそろうのを待たず、最低限で出して足す進め方

2. 「落ち着いたら」は、なぜ来ないのか

落ち着いた時期は、あとから振り返って分かる

「先月は比較的落ち着いていたな」と思うことはあっても、その最中に「今が落ち着いている」と気づくことは少ないものです。落ち着いた時期は、過ぎてから分かることが多いのです。

そして、少し手が空いた日には、ほかにも後回しにしていたことが待っています。書類の整理、設備の手入れ、取引先への挨拶。ホームページは、その列のいちばん後ろに並びます。

毎年、同じ理由で先に延びる

もう1つの理由は、忙しさに波があることです。年度末、決算、繁忙期、年末。毎年同じ時期に、同じ理由で忙しくなるので、「この山を越えたら」と言っているうちに、次の山が来ます。

山と山の間の谷は、思っているより短いものです。谷に入ってから準備を始めると、手が動き出したころには、次の山の入り口に立っています。

「いつか」は、予定に入らない

いちばん大きいのは、日付のない予定は、カレンダーに入らないということです。「いつか作る」は、ほかの予定と比べようがありません。期限のある仕事が来るたびに、自然と後ろに回されます。

始める時期を決めるというのは、言い換えればホームページの予定に日付をつけることです。日付がつけば、ほかの仕事と同じ土俵で順番を決められます。

延ばしているあいだに、起きていること

延ばしているあいだも、貴社を探す人はいます。紹介を受けた人が、会社の名前で検索する。取引を考えている会社が、所在地を確かめる。求人を見た人が、会社の様子を見に来る。そのときにサイトが無い、あるいは古いままだと、その人たちが何を感じて離れたかは、こちらからは見えません。

見えないので、困っている実感もありません。だからこそ、延ばしやすいのです。

3. 始める時期は、「使いたい日」から決まる

先に決めるのは、始める日ではない

では、いつ始めればいいのか。ここで考え方を1つ変えます。先に決めるのは、始める日ではなく、サイトを使いたい日です。

「この日までに、このサイトを見せられる状態にしておきたい」。その日が決まれば、始める日は、そこから制作にかかる期間ぶんを戻ったところに決まります。

使いたい日の、よくある候補

使いたい日は、たとえば次のような場面から決まります。

  • 繁忙期の入り口 ― お客様が探し始める時期
  • 開業・オープンの日 ― 場所と日付を知らせたい日
  • 移転の日 ― 住所が変わる日
  • 新しいサービスを始める日 ― 案内を出したい日
  • 採用を始める日 ― 求人を出す日
  • 展示会や商談会 ― 名刺を渡した相手が、あとでサイトを見る日

どれにも当てはまらない場合は、「○月中に公開する」と社内で宣言するだけでも構いません。理由が弱くても、日付があるかどうかで進み方が変わります。

「戻る期間」は、会社ごとに違う

使いたい日から、どれくらい戻ればいいか。ここは一律には言えません。制作の期間は、作業の量より、原稿や写真、確認の返事を待つ時間で大きく変わるからです。確認する人が多い会社、原稿を社内で書く会社ほど、戻る期間は長くなります。

期間の見積もり方と、公開日から締切を逆に置いていく段取りは、先ほどの どれくらいの期間がかかるのか に譲ります。ここで押さえていただきたいのは、期間を見積もる前に、使いたい日を決めるという順番だけです。

4. 繁忙期の前に出したいなら、その前に始める

季節で忙しさが変わる商売では、時期の決め方に1つ落とし穴があります。

探され始めるのは、忙しくなる前

お客様は、困る少し前から探し始めます。暑くなる前にエアコンの工事を、年末の前に大掃除を、という具合です。お客様が探し始める時期は、貴社が忙しくなる時期より手前にあります。

ですから、繁忙期に間に合わせたいなら、公開の目標は「繁忙期の初日」ではなく「探され始める時期」に置きます。そこから、制作の期間ぶんを戻ります。

繁忙期の最中は、材料が出せない

もう1つ大事なのは、繁忙期の最中に制作を進めるのは難しいということです。制作を止めるのは、たいてい貴社側の材料と確認です。

  • 原稿 ― 仕事の説明を書く時間も、話す時間も取れない
  • 写真 ― 現場は動いていても、撮る余裕がない
  • 確認 ― 送られてきた案を見る時間がなく、返事が遅れる
  • 決裁 ― 社長が現場に出ていて、最後の判断が止まる

繁忙期に入ってから「今年こそ間に合わせよう」と始めると、材料が出せないまま山を越えてしまいがちです。そして山を越えたころには、「来年でいいか」となります。

始めるのは、前の山が終わった直後

逆に言えば、いちばん始めやすいのは、前の繁忙期が終わった直後です。理由は3つあります。

  • 忙しさの記憶が新しい ― 何を聞かれたか、どこで困ったかを覚えているうちに原稿にできる
  • 写真が手元にある ― 繁忙期に撮りためた現場の写真を、そのまま使える
  • 次の山まで時間がある ― 確認や手直しを、急がずに進められる

「落ち着いたら」の「落ち着いた」を、繁忙期が終わった週と決めてしまう、という言い方もできます。

図:1年の流れの中で、始める時期を置く場所(流れは一般的な例で、季節は架空です)
① 前の繁忙期が終わる

今季に聞かれたこと、困ったことをメモに残します。現場の写真も、このときにまとめておきます。

たとえば「問い合わせで多かった質問」を書き出しておく
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② 閑散期:制作を始める

原稿、写真、確認を進めます。社長が案を見て判断できる時間が、いちばん取りやすい時期です。

材料と確認が止まりにくいので、待ちが短くなります
▼
③ お客様が探し始める前:公開

季節のサービスの案内と、受付の目安を載せた状態にしておきます。

公開の目標は、繁忙期の初日ではなくここに置きます
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④ 繁忙期

新しい制作は進めず、受付状況などの1行だけを直します。

ここで新しく始めると、材料が出せないまま山を越えがちです

山の位置は、業種と地域によって違います。自社の去年の問い合わせを月ごとに並べると、①〜③をどこに置くかが見えてきます。

自社の山は、記録で確かめる

山がいつ来るかは、業種と地域によって違います。去年の問い合わせや受注を月ごとに並べてみると、探され始める時期がおおよそ見えてきます。季節の商売でのサイトの回し方は 季節で忙しさが変わる商売の、ホームページの回し方 に、記録の見方も含めて書いてあります。

5. 会社の節目に合わせる:開業・移転・新サービス・採用

季節とは別に、会社には節目があります。節目は使いたい日がはっきりしているので、時期を決める理由としていちばん強いものです。

開業・オープン

開業の日は、動かしにくい日付です。開業前から場所や日付を探す人がいる商売なら、オープンより前にサイトを出す意味があります。開業前に何を載せるかは 開業前のホームページに、何を載せるか にまとめました。

開業の準備は、内装、仕入れ、届け出と、やることが重なります。ホームページの材料は、準備の早いうちに一度まとめて出しておくと、直前に詰まりません。

移転

移転は、古い住所が残ることのほうが問題になる節目です。新しい場所に来るはずのお客様が、古い地図を見て前の場所へ行ってしまいます。移転を機に作り直すなら、住所が変わる日を使いたい日に置きます。

作り直しが間に合わない場合でも、今のサイトの住所と地図だけは、移転の日に直してください。作り直しと、住所の書き換えは別の話です。

新しいサービス

新しいサービスを始めるとき、案内を出したい日は決まっています。ただ、サービスの中身が固まりきらないうちに作り始めると、途中で内容が変わって手戻りが出ます。料金と、誰に向けたサービスかが決まった時点が、始める目安です。

採用

採用は、求人を出す日が使いたい日です。求人を見た人は、会社のサイトも見に来ることがよくあります。そこで会社の様子が分からないと、応募の手前で止まります。求人を出してから慌てて作るより、出す日に間に合うように始めるほうが、取りこぼしが少なくなります。

表:節目ごとの「使いたい日」と、そこまでに最低限出しておくもの(例はすべて架空)
節目使いたい日最低限出しておくもの
開業たとえばオープンの日。開業前に探される商売なら、さらに手前何のお店か、場所、オープンの時期、連絡先。決まった分だけで出せる
移転住所が変わる日新しい住所と地図、移転の日付。古い住所を残さない
新サービス案内を始める日誰に向けたサービスか、料金か料金の考え方、申し込み方
採用求人を出す日仕事の中身、働く場所、職場の様子。求人と同じ内容にそろえる
展示会名刺を渡す日何の会社か、扱っているもの、問い合わせ先

節目に合わせると、日付が先に決まります。日付が決まれば、始める日はそこから戻るだけです。どの節目も、「最低限出しておくもの」の項目だけで先に出し、細かいところは公開後に足していけます。

6. 決算や補助金の時期に、引っぱられすぎない

時期を決める理由として、よく出てくるものがあと2つあります。決算と補助金です。どちらも理由にはなりますが、それだけで時期を決めると、使いたい日とずれることがあります。

「決算の前に」は、使う日とは別の話

「決算が近いので、今期のうちに発注しておきたい」というご相談をいただくことがあります。ただ、決算の日は、サイトを使いたい日とは関係がありません。

決算の前に慌てて発注すると、原稿も写真もそろわないまま始めることになり、結局、制作は次の期にずれこみがちです。経費としての扱いや、どの期に計上するかは、契約の形や会社の状況によって違います。税の扱いは、顧問の税理士の方に確認してください。この記事でお伝えしたいのは、お金の都合と、使いたい日の都合を分けて考える、ということだけです。

補助金は、手順の都合で時期が決まる

補助金を使ってホームページを作る場合は、時期の決まり方が変わります。公募の期間があり、一般に交付が決まる前には発注できないなど、手順の都合で始める日が決まるからです。

そのため、補助金を待つと、使いたい日に間に合わないことがあります。繁忙期の前に出したかったのに、交付の決定を待っているうちに山が来る、ということも起こりえます。手順とお金の流れは 補助金でホームページを作るときに、先に知っておくこと に整理しました。制度の条件は回ごとに変わることがあるので、最新の公募要領と窓口の案内を確かめてください。

先に決めるのは、使いたい日

順番としては、まず使いたい日を決め、そのあとで決算や補助金と合うかを見るのがおすすめです。

  • 合う場合 ― 使いたい日に間に合うなら、決算や補助金に合わせて進めて構いません
  • 合わない場合 ― 使いたい日を優先するか、使いたい日のほうを動かすかを、社内で決めます。どちらを選んでも構いません

いちばん時間を失うのは、どちらにするか決めないまま待つことです。待っているあいだは、「落ち着いたら」と同じ状態に戻ってしまいます。

7. 「完璧にそろってから」より、「最低限で出して足す」

始める時期がずれこむ理由が、もう1つあります。材料が全部そろってから始めようという考え方です。

そろうのを待つと、また「落ち着いたら」になる

「写真をちゃんと撮ってから」「実績がもう少し増えてから」「会社案内を作り直してから」。どれも、もっともな理由です。ただ、これは「落ち着いたら」と同じ形をしています。そろう日に、日付がついていないのです。

そして、そろったと思ったころには、新しく足りないものが見えてきます。完璧な状態は、待っていてもなかなか来ません。

最初を小さくすれば、時期の悩みも小さくなる

始める時期に迷うのは、制作を大きな仕事だと考えているからでもあります。大きな仕事なら、まとまった時間が取れる時期を待ちたくなります。

最初を小さくすれば、時期の悩みも小さくなります。1ページで、何の会社か、誰の何を解決するか、連絡先と場所が分かる。それだけでも、探しに来た人に会社を説明できます。1ページに何を載せるかと、公開後に増やす順番は 1ページから始めて、あとから増やす進め方 に書きました。

足す予定を、先に決めておく

最低限で出すときは、あとから足すものの一覧と、足す時期を先に決めておきます。決めておかないと、出したところで止まります。

  • 次の閑散期に足す ― 実績のページ、よくある質問
  • 写真がそろったら差し替える ― 今ある写真で出した部分
  • 採用を始めるときに足す ― 募集のページ

こうしておくと、繁忙期の前に1ページ、閑散期に実績、という具合に、忙しさの波に合わせて少しずつ大きくできます。始める時期を1回で決めきる必要がなくなります。

それでも、今は始めなくていい場合

正直に書いておきます。次のような場合は、今すぐ始めなくても構いません。

  • 繁忙期のまっただ中 ― 材料も確認も出せないので、山を越えた週を始める日に決めておく
  • 事業の中身がまだ動いている ― 何を売るかが決まっていないと、書くことも決まらない
  • 使いたい日が、どこにも見当たらない ― 探しに来る人も、見せたい相手もいないなら、その時間を先に営業に使う

ただし、どの場合も「いつか」で終わらせず、始める日の候補を1つだけ書いておくことをおすすめします。

8. 雄喜晃の伴走:使いたい日から、始める日を一緒に決めます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、最初のお打ち合わせで「このサイトを、いつ、誰に見せたいか」を伺うところから始めます。使いたい日が決まれば、そこまでの段取りを一緒に組めます。

私たちがやること

  • 使いたい日の整理 ― 繁忙期、開業や移転、採用など、貴社の予定を伺って、公開の目標日を一緒に決めます
  • 貴社側の手間を減らす ― 原稿はお話を伺って私たちが文章に起こすので、書く時間が取れない時期でも進められるようにします
  • 写真は、今あるものから ― 貴社で撮っていただいた写真を、大きさや明るさを整えて載せます
  • 最低限で公開して、足していく ― 1ページから出し、閑散期に実績やよくある質問を足す、という順番をご提案します

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後に少しずつ足していくときも、ご連絡いただければこちらで反映します。

最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

「今月中に決めないと」と、時期をせかすことはしません。使いたい日がまだ先なら、そう申し上げます。

また、決算での経費の扱いや、補助金の申請についての判断は、私たちの仕事ではありません。税理士の方や、制度の窓口にご確認ください。公開の日に間に合わせるために、内容の確認を省くこともいたしません。急ぐときほど、間違った情報が載ったまま公開されるのを避けたいからです。

「落ち着いたら作ろうと思ったまま、何年も過ぎている」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月6日に設立した会社です。

9. まとめ:いい時期は、待つものではなく決めるもの

ホームページを作り始める時期について、押さえることは5つです。

  • 「落ち着いたら」は来ない ― 落ち着いた時期は過ぎてから分かる。日付のない予定は、後ろに回される
  • 使いたい日を先に決める ― 始める日は、そこから制作の期間ぶんを戻ったところ。期間は会社ごとに違う
  • 繁忙期の最中には始めない ― 前の山が終わった直後に始め、探され始める前に出す
  • 節目に合わせ、決算や補助金に引っぱられすぎない ― 開業・移転・新サービス・採用は、日付の強い理由になる。お金の都合は分けて考える
  • 最低限で出して、足していく ― 最初を小さくすれば、時期の悩みも小さくなる

ホームページにとっていい時期とは、暇な時期ではありません。そのサイトを見せたい相手がいる日の、少し手前です。

今日できることを1つだけ挙げます。カレンダーを開いて、この1年で「サイトを見せたい日」を1つ探し、そこに印をつけてみてください。繁忙期の入り口でも、採用を始める日でも構いません。印がついた時点で、「いつか」が予定に変わります。

使いたい日は決まったが、何から始めればいいか分からない、という方は、一度ご相談ください。