1. 「誤字がないかは、何度も読んだんですが」

中小企業の経営者の方とお話していて、こんな言葉をよく聞きます。

「公開する前に、誤字がないかは何度も読んだんです。それなのに公開してしばらくしてから、お客様に『電話がつながらなかった』と言われて。見たら、番号が1つ違っていました」

こういうことは、珍しくありません。そして、何度読んでも見つからなかったのには、理由があります。

誤字は、読んでいると引っかかります。「お問い合せ」が「お問い会わせ」になっていれば、目が止まります。ところが、電話番号の数字が1つ違っていても、文章としては何もおかしくありません。意味が通ってしまう間違いは、読んでも見つからないのです。

そして、こちらのほうが損が大きい。誤字は、読む人が頭の中で補ってくれます。違う電話番号は、補いようがありません。お客様はその番号にかけて、つながらなければ、別の会社にかけます。

この記事で書くこと

  • 誤字より怖い6つの間違い ― 電話番号・住所・料金・営業時間・日付・社名
  • 確かめる順番 ― 事実の数字、固有名詞、表記のゆれ、誤字の順に、1周に1種類
  • 読み方を変える ― 声に出す、紙に印刷する、書いた人と別の人が読む
  • 表記のゆれは、会社で1つに決める ― 全角と半角、送り仮名、「ホームページ」と「HP」
  • 公開後に見つけたとき ― 直し方を短く

文章を読みやすく直す方法は、ホームページの文章を、読みやすく直す に書きました。あちらは伝わる文章にするための直しです。この記事は、直し終わった文章が正しいかどうかを確かめる話です。順番としては、直すのが先で、確かめるのは公開の直前です。

2. 誤字より怖い、6つの間違い

先に、何を確かめるのかを決めます。公開前の文章で、とくに重いのは次の6つです。

電話番号

いちばん重いのがこれです。数字が1つ違えば、つながらないか、別の人にかかります。読む人は、番号が間違っているとは思わずにかけます。つながらなければ、その会社は「やっていないのかもしれない」と受け取られます。ファクス番号、携帯電話の番号を載せている場合も同じです。

住所

番地の数字、ビル名、階数。住所の間違いは、来店や郵送のときに表に出ます。地図の埋め込みと本文の住所が食い違っていると、読む人はどちらを信じればよいか分かりません。

料金

金額の桁、税込か税別か、何が含まれているか。料金の間違いは、問い合わせのあとの商談で表に出ます。「サイトにはこう書いてあった」と言われたとき、説明するのはこちらです。料金の示し方には、業種によって決まりがある場合があります。気になるときは、所管の窓口や専門家に確認してください。

営業時間・定休日

終わりの時刻、昼休み、定休日の曜日。来店する人は、ここを見て出かけてきます。閉まっている店の前に立たせてしまうと、その人は二度目を考えにくくなります。

日付

お知らせの日付、イベントの開催日、受付の締め切り。気をつけたいのは日付と曜日の組み合わせです。「3月5日(火)」のように書いたとき、その日が本当に火曜日かどうか。年が変わると、同じ日付でも曜日が変わります。

社名・人名

株式会社が前か後ろか、代表者の名前の漢字、取引先や資格の正式な名称。名前の間違いは、相手に失礼になります。とくに人名の漢字は、本人にとって大事なものです。

6つに共通していること

6つとも、読む人がその情報を信じて、そのまま行動するものです。誤字は読む人が気づきますが、この6つは気づかれないまま使われます。だから、公開前にはこの6つを、ほかの文章とは別に確かめます。

3. 確かめる順番を決める

何を確かめるかが決まったら、次は順番です。全部を一度に見ようとすると、見落とします。

一度に全部を見ると、目が文章を追ってしまう

誤字も、数字も、表記も、と一度に探しながら読むと、目は自然に文章の意味を追い始めます。意味を追うと、意味が通っている間違いを読み飛ばします。第1章で書いた「何度読んでも見つからない」は、これが原因です。

1周に1種類だけ探す

そこで、1回読むごとに、探すものを1種類に絞ります。重いものから順に、4周に分けます。

図:公開前の文章を、4周に分けて確かめる順番
1周目:事実の数字

電話番号、住所の番地、料金、営業時間、日付と曜日。文章は読まず、数字だけを拾って、元の資料と1つずつ照らします。

照らす相手:名刺、登記の内容、最新の料金表、カレンダー
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2周目:固有名詞

社名、代表者や社員の名前、商品名、地名、資格や許認可の名称、取引先の名前。正式な表記と照らします。

照らす相手:名刺、資格の証書、取引先から届いた書類
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3周目:表記のゆれ

同じものが、ページによって違う書き方になっていないか。全角と半角、送り仮名、「ホームページ」と「HP」など。

照らす相手:会社で決めた表記の一覧(第5章)
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4周目:誤字・脱字

最後に、文章として読みます。ここで初めて意味を追ってよい周です。声に出す、紙で読む、別の人が読む、の3つを使います。

ここまで来ると、残っているのは読めば気づく間違いだけになっています

順番は、間違えたときの損が大きいものからです。4周目の誤字は、読む人が補ってくれることもあります。1周目の数字は、補ってもらえません。時間が足りないときは、1周目だけでも先に終わらせてください。

時間がないときは、1周目だけでも

4周は大げさに見えるかもしれません。ただ、1周目と2周目は、文章を読むわけではないので、思っているより早く終わります。公開の日が迫っているなら、1周目だけでも先に済ませてください。

4. 事実の数字は、元の資料と照らし、使ってみる

1周目の進め方を、もう少し詳しく書きます。

照らす相手を、先に決める

数字を確かめるには、何が正しいのかを示す元の資料が要ります。サイトの原稿を見ながら「たぶん合っている」と思うのでは、確かめたことになりません。

  • 電話番号・住所・社名 ― 名刺、登記の内容、封筒
  • 料金 ― 社内でいちばん新しい料金表。日付の入ったもの
  • 営業時間・定休日 ― 今の実際の運用。店頭の掲示とも合わせる
  • 日付と曜日 ― カレンダー。年まで確かめる

困るのは、元の資料どうしが食い違っている場合です。名刺と封筒で住所の書き方が違う、ということはよくあります。そのときは、どれを正とするかを先に決めます。社内の表記のそろえ方は ホームページと名刺・封筒で、書いてあることが違う に詳しく書きました。

一桁ずつ、指で押さえて読む

数字は、目で流すと、頭の中にある正しい数字に置き換えて読んでしまいます。原稿と資料を並べて、一桁ずつ指で押さえながら読むと、ずれに気づきやすくなります。

1人が原稿を読み上げ、もう1人が資料を見て「はい」と返す形にすると、さらに見落としが減ります。

電話は、かけてみる

電話番号は、照らすだけでなく、サイトの画面から実際にかけてみてください。スマートフォンで番号を押すと、そのまま電話がかかる形になっていることがあります。表示されている番号は正しいのに、押したときにかかる番号が古いまま、ということも起こりえます。

メールアドレスも同じです。サイトに載せたアドレスに、実際に1通送ってみます。問い合わせフォームがあれば、フォームからも1通送り、届くかどうかを確かめます。

住所は、地図で検索してみる

住所は、サイトに書いた住所をそのまま地図で検索してみます。ピンが自社の場所に立つかどうかを見ます。番地が1つ違うと、隣の建物にピンが立つことがあります。

数字は、出どころを1枚に控える

「創業○年」「施工実績○件」のような数字は、照らす資料がそもそも無いことがあります。こうした数字は、何を数えて、いつ時点の数字かを決めてから載せてください。数え方と書き方は 「創業○年」「施工実績○件」などの数字を、ホームページにどう書くか にまとめてあります。

5. 固有名詞と表記のゆれは、会社で1つに決める

2周目と3周目は、同じ考え方で進めます。正しい書き方を、先に1つ決めておくことです。

固有名詞は、正式な表記と照らす

社名、人名、商品名、資格の名称は、正式な表記があります。代表者の名前の漢字に、異なる字体がある場合は、本人に確かめてください。取引先の社名を載せる場合は、相手の名刺や書類と照らします。

資格や許認可の名称は、似た名前のものがあります。証書に書いてあるとおりの名称で載せてください。

表記のゆれとは

表記のゆれは、同じものが、場所によって違う書き方になっている状態です。1つ1つは間違いではありません。ただ、同じサイトの中で混ざっていると、読む人は「別のものなのか」と迷いますし、雑に作られた印象も残ります。

ゆれは、書いた人や書いた時期が違うと、自然に生まれます。だから、誰か1人が気をつけるのではなく、会社として1つに決めておくのが近道です。

表:会社で1つに決めておきたい表記(例はすべて架空の決め方)
項目ゆれの例決め方の例
数字「10時」と「10時」が混ざるたとえば「数字は半角にそろえる」
時刻「9:00〜18:00」と「9時〜18時」が混ざるたとえば「時刻は『9時〜18時』と書く」
電話番号ハイフンあり、なし、かっこ書きが混ざるたとえば「名刺と同じ区切り方にする」
送り仮名「お問い合わせ」「お問合せ」「お問い合せ」たとえば「お問い合わせ」に1つ決める
呼び方「ホームページ」「HP」「サイト」「Webサイト」たとえば「お客様向けの文は『ホームページ』」
年の書き方西暦と和暦が、ページによって違うたとえば「西暦で書き、沿革だけ和暦を添える」
社名正式名、略称、「当社」「弊社」が混ざるたとえば「初出は正式名、以降は『当社』」

右の列は、決め方の一例です。どちらに決めるかより、1つに決めることのほうが大事です。決めたものは一覧にして、原稿を書く人と確かめる人の両方が見られる場所に置いてください。

決めた表記は、一覧にして配る

決めた表記は、1枚の一覧にして、原稿を書く人全員に渡します。3周目は、この一覧を横に置いて読みます。一覧に無いゆれが見つかったら、その場で決めて、一覧に足します。

一覧は、ホームページだけのものではありません。名刺、チラシ、見積書でも同じ表記を使うと、会社として書いていることがそろいます。

検索して探せるものは、検索で探す

表記のゆれは、目で探すより、原稿の文書の中を検索したほうが早いことがあります。「HP」「お問合せ」のように、使わないと決めた書き方を検索すれば、残っている場所がすぐ分かります。数字の全角と半角も、全角の数字を検索すれば見つかります。

6. 誤字は、読み方を変えて探す

4周目は、いよいよ文章として読みます。ここで大事なのは、いつもと違う読み方をすることです。いつもの読み方では、ここまでに見逃したものは、また見逃します。

声に出して読む

1つ目は、声に出して、ゆっくり読むことです。黙読では、目が先に進んで、1字抜けていても補って読んでしまいます。声に出すと、1字ずつ口で確かめることになるので、抜けや重なりに気づきます。

読みやすさを直すときにも声に出して読みますが、目的が違います。読みやすさのときは、つっかえる文を探します。誤字を探すときは、1字ずつ確かめるために、わざとゆっくり読みます。

紙に印刷して読む

2つ目は、紙に印刷して読むことです。画面で何度も見た文章は、目が慣れてしまっています。紙にすると、同じ文章でも見え方が変わり、画面では素通りしていた字に目が止まります。

紙なら、確かめた行に線を引いたり、気になった字に丸をつけたりもできます。どこまで確かめたかが、紙の上に残ります。

書いた人と、別の人が読む

3つ目は、書いた人とは別の人に読んでもらうことです。書いた人は、何を書いたつもりかを知っているので、書いたつもりの文を読んでしまいます。

別の人は、社内の人でも構いません。原稿を社員の方に書いてもらった場合は、書いた本人と、確かめる人を分けてください。原稿の頼み方は ホームページの原稿を、社員に書いてもらう にまとめました。社外の人に、使い勝手も含めて見てもらう方法は 自社のホームページを、社外の人に見てもらって直す にあります。

画像の中の文字も読む

見落としやすいのが、画像の中に入っている文字です。バナーやチラシの画像に書かれた電話番号や日付は、文章を検索しても出てきません。画像は1枚ずつ開いて、1周目と同じように数字を照らしてください。

スマートフォンでも1回見る

最後に、公開前の画面をスマートフォンで1回見ます。パソコンでは1行に収まっていた電話番号が、スマートフォンでは途中で折り返して読みにくくなっていることがあります。文字は合っているのに、読み取りにくいという形の間違いも、ここで拾えます。

7. 誰が確かめるか、公開後に見つけたら

最後に、確かめる人の決め方と、公開後に見つけたときの直し方です。

誰が、どの周を受け持つか

確かめる人は、周ごとに分けてもかまいません。たとえば、1周目の数字は事務の方、2周目の固有名詞は代表、4周目の誤字は書いた人以外の社員。受け持つ人が決まっていれば、「誰かが見ただろう」で抜けることがなくなります。

確かめたら、原稿の上に誰が、いつ、どの周を確かめたかを残してください。紙なら名前と日付を書き込むだけで十分です。

公開後に見つけたら、まず事実の誤りを直す

公開したあとで間違いが見つかることは、どれだけ確かめてもありえます。見つけたときは、次の順で動いてください。

  • 事実の誤りは、その日のうちに直す ― 電話番号、料金、営業時間、日付は、見つけた時点で直します
  • ほかの場所にも残っていないか探す ― 同じ数字は、別のページ、画像、PDF、Googleマップにも載っていることがあります
  • 影響が大きければ、一言知らせる ― 料金や日付を間違えて載せていた期間が長いなら、お知らせ欄で訂正を一言出します。訂正の出し方は ホームページに間違った情報を載せてしまったとき にまとめました
  • 誤字は、まとめて直してよい ― 読む人が補える誤字は、急がなくても構いません

直したら、自分のスマートフォンで直ったことを確かめます。短い時間でできる直しの進め方は 今日30分でできる、ホームページの小さな直し にまとめてあります。

8. 雄喜晃の伴走:公開前の確かめを、4周に分けて一緒に進めます

私たち雄喜晃のホームページ制作では、公開の前に、この記事の順番で文章を確かめてからお見せします。

私たちがやること

1周目の数字は、名刺や料金表など、貴社からいただいた資料と1つずつ照らします。電話番号は画面から押して確かめ、フォームからは実際に送信して届くことを確かめます。資料どうしが食い違っている箇所が見つかったときは、こちらで決めずに、どれを正とするかを貴社に伺います。

表記のゆれについては、原稿の中で混ざっている書き方を拾い出し、どちらにそろえるかを一緒に決めます。決めた表記は一覧にしてお渡しします。

料金と条件

料金は制作費0円、月額8,800円(税別)からです。6ページ構成のプランは月額13,800円(税別)です。サーバー、独自ドメイン、SSL、保守は月額に含まれています。月5回までの更新代行も同じ月額の中なので、公開後に間違いが見つかったときも、ご連絡いただければこちらで直します。

条件も書いておきます。最低契約期間は6ヶ月です。7〜35ヶ月で解約された場合、サイトは非公開になります。36ヶ月以上ご継続いただいた場合は、サイトをお渡しします。

私たちがやらないこと

貴社の事実を、こちらで推し量って書き込むことはしません。資料が無い数字や、確かめられない名称は、伺ってから載せます。料金の表示のしかたや、業種ごとの表示の決まりについて、法律の判断をすることもいたしません。そこは所管の窓口や専門家にご確認ください。検索の順位や、問い合わせが何件増えるといったお約束もいたしません。

「公開したいけれど、どこかに間違いが残っていそうで不安だ」という方は、一度ご相談ください。実際にお作りしたサイトは 制作実績、料金と条件は ホームページ制作のページ に載せてあります。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、2025年10月から活動しています。

9. まとめ:重いものから、1周に1種類ずつ

ホームページを公開する前に、文章を確かめるときに押さえることは5つです。

  • 誤字より、6つの事実を先に ― 電話番号、住所、料金、営業時間、日付、社名。読む人はそのまま信じて動きます
  • 1周に1種類だけ探す ― 事実の数字、固有名詞、表記のゆれ、誤字の順に
  • 数字は、元の資料と照らし、使ってみる ― 電話はかける、住所は地図で検索する、フォームは送る
  • 表記は、会社で1つに決める ― 決めたものを一覧にして、書く人と確かめる人に配る
  • 読み方を変える ― 声に出す、紙で読む、書いた人と別の人が読む

何度読んでも見つからない間違いは、読む回数ではなく、読み方と順番で見つかります。

今日できることを1つだけ挙げます。自社のサイトの電話番号を、スマートフォンから押してみてください。かかった先が自社であれば、1周目の最初の1つは終わりです。

公開前の確かめを、誰がどう進めるか迷っている、という方は、一度ご相談ください。